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『錬金985話 グラティアスの居場所』

『錬金985話 グラティアスの居場所』


 別らしい。

 知っているところまで話してもらいたい。

 今後に関わることだしな。


「別の場所が知りたい。グラティアスは覇者の剣を持っている。あれは危険な剣なんだ。グラティアスは理解しているのかわからない。グラティアスだけではない、世界が混乱する」


「グラティアスはジャカラン国に向かったとだけは教えてやろう。本来ならばフランツには教えることはない情報。だが、我らもグラティアスの動向は圏外となった。だから教えてやる」


「ジャカラン国か。東の大陸だ」


「三賢者のいる国です。三賢者と来たのだから、ジャカラン国が今回の覇者の剣の黒幕の可能性がありますね」


「黒幕はジャカラン国なら、遠いです。勇者が何をするかですね。町に面倒なければいいですが」


「迷惑してくる。勇者はフランツ町長を恨んでいるからな。それに覇者の剣は使った者を狂わす。そのうち狂いだすと、東の大陸ごと破壊したりしてな」


「やれやれ」


 グラティアスは東の大陸に向かったと言う。

 そのまま東に居てくれたら楽ではある。

 でも、そうはいかないのがグラティアスだ。


「馬車があるので使っていいです」


「そうか、フランツが貸すというのだから使う。私から言ったのではない」


「あくまでも、上から目線です」


「常に」


「当然だ。騎士団団長の立場だ。馬車は遠慮なく使わせてもらう」


 そうして町にあった馬車を貸した。

 ルーリンは使ってやるという上から目線で言った。

 タップと一緒に帰った。

 突然の訪問客だった。

 町の見学をさせる作戦は成功したのかは、どうも判断できなかった。


「帰った」


「町の馬車は返してくれるかしら」


「騎士団なら返すだろ」


「わからん」


「ただ町を好きになってくれていればいいのだ」


「なったのと思う。ビールも喜んでいたし」


「大浴場も入ったしね。きっと好きになってくれるといいな」


「ストラマーベルの事は特に嫌っていた」


「魔族の王だからな。好きになれって言うのが無理だろう。嫌われていても俺は気にしないけどな」


 ストラマーベルを嫌っているのは俺も感じた。

 魔王は人族には永遠の敵なのかもな。

 それを変えられたら、世界は変わるとも言える。



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