『錬金959話 勇者視点 谷から脱出する』
『錬金959話 勇者視点 谷から脱出する』
「勇者さん、空腹で死ぬぜ」
「フィーネル、回復魔法してやってくれ、クククク」
「やってるわよ、でも私も空腹はある。いくら食料がないからといっても、私の回復魔法で生き延びるのも限界ある」
「体力は回復する」
辺境の谷で迷った俺たちはずっと何も食べずにいた。
ただフィーネルが頼みだ。
フィーネルはこのメンバーでは最強の回復魔法の使いて。
体力の減少を魔法で回復させる。
空腹にも多少は効果があるから助かった。
フィーネルがいなかったら、終わっていた。
フランツの後を追うべきだったぜ!
後悔する。
「フィーネルがいて助かるよ、ありがとう」
「ありがとうフィーネル」
「私も魔力に限界あるよ」
「早く谷から出たい、グラー、どうするの、あなたが遠征リーダーでしょう?」
「どこを歩いても出れない。迷宮のようだ。信じられないが、手がない」
「まずいよ」
「あれ、何かな、何か谷に向かって来る、ほら、見てよ」
ランジェリが言う。
遂に空腹で頭が狂ったか。
何か向かってくるはずはない。
たぶん、幻覚だろう。
人は空腹になり限界になると幻覚をみるという。
幻覚をみだしたら、もう終わりだ。
もう死は近いぞ。
「あああ、本当だあああ!」
「こっちに向かって来ているぞ。なんだあれは、竜巻だ!」
「竜巻じゃないか! 竜巻だぞ! ここに来る」
竜巻!
見ると竜巻っぽいな。
まさかこんな谷に竜巻が来るものなのか。
「どうする、竜巻がくる。グラティアス、ぶつかったらどうなるのよ!」
「知らない、俺だって知るかよ、クククク」
「逃げろおおおおお~~」
「逃げろ! 巻き込まれたら終わりだぞ!」
「ダメよ~~~、逃げても間に合わないわ!」
「いやああああああ!」
ダメだ。
竜巻が早すぎる。
大きさは小さいが、早い。
猛烈な早さだ。
俺たちがいる場所に来て激突するぞ。
「何かいるわ、竜巻の中に誰かいる、そして叫んでいるわ!」
「適当なことをいうなよランジェリ。いるわけないだろ!」
「見なさいよ、自分の目で!」
ランジェリが言った。
人?
聞いたことねえ。
竜巻の中に人がいるなんて、あれ、人だ。
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