『錬金856話 勇者視点 辺境の谷に行く』
『錬金856話 勇者視点 辺境の谷に行く』
ランジェリの予想は単なる予想ではない。
実際に消えているので、深刻だ。
谷の道は一本道だった。
それは俺が確認している。
「グラティアスが先頭で来た。一本道だったか?」
「間違いない一本道だ。上からここまで来るまでの間に、フェンリル族が攻撃してきたなら、今も見ているはずだ、、、どこかにいるのだ、、、」
「グラー、、、剣の準備してよ、あなたが頼りなんだからね」
「ウルフキラーがある、怖がるな。このまま進んでいい。フェンリル族が居るなら、神殿もあるという証拠だ」
「神殿があるとなるわね。今度は私が最後尾にいる」
「頼むランジェリ」
ランジェリが自分から最後尾に行った。
これでフェンリル族なら察知できる。
「グラティアス、進め!」
「俺かよ」
確かに神殿とフェンリル族が繋がるが、神殿を発見する前に俺たちが消されたら意味はない。
どっちが先かとなる。
グラーから先に行けと言われて俺は進んだ。
少ししてから、また声がした。
さっきと同じだ。
ハルネールの声。
「どうした、ハルネール?」
「また消えました!! 私の団員が一人消えてます!」
「数えろ、、、いない、、、12人だ。さっきより一人減っている!」
「おい、ランジェリ、いつ、さらわれたか見たか?」
「見てない。全く見えなかった。いつかもわからない。これだと私が攻撃されていても防げなかったわ、、、」
確かに言えてる。
攻撃されても気づかないぞ。
これ以上先に行くのはヤバい。
ヤバすぎる!
「フェンリル族がさらった。見えないのはこの谷を知っているからだ。俺たちは初めて来て何もわからない。それに霧が濃いのもある。どうしても下を見てしまう」
「先に進むのは危険です。消えた人は死んでいるでしょう。これ以上の犠牲者を出すよりも引き返すべきです」
フィーネルが提案する。
説得力がある意見だった。
多くの人は納得するだろう。
仲間が3人も消えたのだ。
当然そう思う。
リーダーのグラーが決める時。
みんながグラーに注目する。
「炎術の弾が3人消えたのは悲しい。仲間だからな。残念だ。でも俺は引き返すのはしない。見てみろ、一本道だと思っていたが、振りかえると、迷路だ」
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