『錬金059話 勇者グラティアス視点』
『錬金059話 勇者グラティアス視点』
それから次々と剣術が実行された。
偶然だ、絶対に偶然切れたんだよな!
何人もの剣士がベヒーモスに飛びかかり剣を振り下ろす。
ザザザジーーー!
オオオオオオオ!
ベヒーモスは足やら胴体を切られた時に、またも綺麗に切れる。
「やったああああああああああああああああ、切れた!」
「俺の剣術も切れたぜ!!!」
切るたびにベヒーモスは悲鳴をあげる。
またかよ、またかよ、なんで切れるよ!
切れちゃだめだ!
切れちゃいけないのよ!
これじゃ俺だけ切れないと確定しちゃうでしょ!
ベヒーモスが反撃に出る。
そりゃベヒーモスだ、やられるばかりで黙っているわけないので反撃する。
「反撃してきた!」
「ヤバい、ベヒーモスが攻撃してくる、逃げろ!!」
「私が守ります。みんなは攻撃して! 氷の鎧」
氷の鎧はミーシャが使える高等な防御魔法。
Bランクの冒険者の物理攻撃を大幅に軽減させたのだ。
軽減は何度も出来ないので、ミーシャが防御に徹している間に、冒険者らが攻撃するわけか。
「ミーシャだ! ミーシャが魔法防御してくれた!」
「ありがとうミーシャ!!」
「ミーシャが防御している間に、ベヒーモスに総攻撃だ!」
「おおおおお!」
ザザザジーーーー!
剣が振られる。
ミーシャが必死に防御しているからで、普通なら冒険者の連中は全員大ダメージを受け、瀕死だろう。
ミーシャが防御に周り、剣で切る。
またも切れた!
どんどん切れる。
剣がベヒーモスの足を切りまくると、悲鳴を出す。
「おお、ベヒーモスが退散していくぞ!!」
「俺らの攻撃が効いた証拠だあああ!」
「やったああああああ!」
ベヒーモスに総攻撃した結果、ベヒーモスはやや後退した。
多少なりとも体力を減らしたからか。
理由はどうであれ、ベヒーモスが後退したなら、圧力は大幅にダウンだ。
前回とは違う。
前回はミーシャしか攻撃が与えられずに苦戦し続けたから、俺らは退散した。
今回は大善戦と言える。
ただ俺はダメージを与えていないので、不満ではあるが。
まあいい、次に控えるケンタウロスがいる。
ケンタウロスは、強いだろうがベヒーモスのようなレア魔物だはなく、ダメージを与えられるだろう。
そこで勇者の意地をみせてやろう。




