『錬金053話 モフルンは食いしん坊』
なんとも食いしん坊なモフルンだったわけだ。
それなら初めから、食べたいのだと言ってくれたら、済んだ話しだな。
俺も敵とか関係なく料理をごちそうしたしな。
肉もいっぱいあるし。
「最初からモフルンがフランツ様の料理を食べたいと言ってくれたなら、戦わずに済んだのだよ。言ってくれたら良かったのに」
「確かにスイの言うとおり、自分の気持ちのまま、食べたいと言えば良かった。でも私は伝説的なフェンリル族です。誇りもあるのですよ。だから言えないし言いにくかったの。食べさせてなんてね。でも本当はいい匂いが気になって、気になって」
「伝説のフェンリル族も、食欲には勝てないのね。まあ魔竜の私も同じだから、あまり人のことは言えないけど」
「あの〜〜もっとコメを食べたいのです……」
モフルンがお皿を持って言う。
どうやらコメ料理を気に入ってくれたらしい。
もちろん俺は歓迎だし、作ればいくらでもある。
「コメ料理なら作ればいっぱいある。農地で作れば一日で作れるしな。たくさん食べたらいいよ」
「ありがとう!」
スイとモフルンは、仲良く食べていた。
辺境の地でスイと新たにフェンリル族モフルンを仲間にした。
土地は開発していき、農地も成功し、食料も蓄えられる。
水はスイの手から出るので問題はない。
生きていくのに必要な物はだいぶ揃ったかな。
俺の国作りしてスローライフするのは、少しではあるが形になったようだ。
そう言えば、勇者のグラティアスはどうしているかな?
まあ気にぜす俺は自分の道を行こう。
「モフルンにも言っておきたい」
「はい」
「俺はこの国、ターバント国で勇者パーティーにいたんだ。それでそのパーティーを追放されてしまった。さらにターバント国の冒険者ギルドからも追放されたんだ。ただそれ以前に俺はスイと残りの魔竜と、他にもAランク級の魔物なんかも錬金術を使い、結界していたんだ」
「そうよ、私はフランツ様の結界で動けなかったの」
「そしたらどうして結界を解いたのです?」
「追放された俺は、今まで国のために働いてきて、必死に結界までして苦労していた。もの凄い魔力と体力を使うんだ結界をし続けるのは。でも追放されて俺は考えを変えた。自由に生きようってね。国のために働くのはやめた。だから結界も魔竜だけ残して、残りの魔物の結界は解除した。国にいたA、Sランク級の魔物は今頃は結界がなくなり暴れているだろうな」
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