『錬金049話 フェンリル族』
「ぬぬぬぬぬ、この首輪のせいかい！！ 重くて重くて歩くのも困難！ 取ったらいいさ、こんな首輪なんて！」
「取れないよ。俺しか取れないと思う」
特殊な作り方をした。
俺ならば簡単に取れる作りだ。
暴れても爪でひっかいても破壊は不可能だな。
「爪で取ってやる！ あれ、あれ、取れない、取れないわ！ なんで取れないのよ！」
「錬金術で取れない作りにした。終わりなのはフェンリルの方だったな。鋼鉄爆破剣！」
「や、や、や、や、や止めて〜〜〜〜〜〜〜〜〜」
ボバーーーーーーーーーン！
爆破剣がやっとのことフェンリルに当たる。
戦いになって初めて当たった。
フェンリルに当たった瞬間に、爆発する。
これがこの爆破剣の真価だった。
「ああああああああああああああああ、爆発したああああああああああああ！！」
「まだ切られたいか？」
「もう、もう、止めてください。私の負けです！！」
フェンリルは体が爆発し、痛いと騒ぐ。
さすがに戦いを止めると言った。
そこで俺は攻撃を中止した。
「フランツ様〜〜〜、勝ちましたああああ！」
「スイ！！」
スイが走ってきて、俺に抱きついてきたのを受け止める。
おいおい、俺は体力減っているのだけどな。
抱きつくほどに、俺を心配していたのが伝わった。
「強い、強い。アイスドラゴンの言った通りだった」
「そうでしょ、フランツ様は強いのです。私も負けたの。錬金術にね」
「確かに錬金術を舐めていたわ。私の負けです。フランツ。いいえ、フランツ様」
フェンリルは負けを確実に認めた。
認めたのはいいけど、フランツ様と、様を付けた。
なぜだろうな、様なんて要らないのに。
「ねえ、フェンリル。俺を様と呼んだよね今？」
「はい。私はフランツ様に負けました。絶対に認めます。お願いします。このフェンリルを仲間にしてくださいませ」
「えええええっ、なぜ？」
まさか魔竜と同じく負けたら、仲間になって遵う習性があるとかないよな。
魔竜がそうだからな、フェンリル族にもあっても不思議はないかな。
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