『錬金046話 フェンリル族』
どうも俺を疑っているな。
俺の場合は特殊だからで、錬金術士のユニークスキルが大きい。
魔力量には頼らないのだった。
そこでスイが、
「フランツ様の強さをわからないのは情けない。フェンリル族も辺境の地にいて、勘が鈍ったのでしょう」
「なんですと！ 私が鈍ったと言いたいの。それなら戦ってみますか？ そうしたらわかりますよ。魔竜だって！！」
スイが急激に戦闘モードに入った感じに。
ちょっとヤバイかな。
フェンリルて相当にヤバい魔物なのだろうから、スイが戦うとなると、ただでは済まないよな。
「やってやろう！ 私もフェンリル族だ。魔竜に言われて黙っているわけにはいかないぞ！ グルルルルル！！」
おいおい、スイが戦闘モードに入ったのをきっかけに、フェンリル族までも、興奮してきたのだった。
マジかよ、こんなのは最悪な状況だな。
しかも俺の農地が破壊されたくもないしだ。
だがお互いに引けないとこまで来ていて、戦いは避けられない！
「グルルルルル！！」
「魔竜に戦いをしたのを後悔させてあげましょう！！」
「止めろおおお！」
ズハアアアアアア！
ドスーーーーーン！
スイとフェンリルが強烈にぶつかり合う瞬間に、俺が割って入った。
2人を戦わせるわけにはいかぬと。
とっさに取った行動だったため、防御はできない。
フェンリル族の前足の爪。
スイの拳。
両方とも俺の体にヒットしている！
「ううううう……」
「フランツ様！！」
「人族に爪が！！」
スイは直ぐに俺から拳を離す。
フェンリル族も爪を離した。
ただ爪が刺さり、流血していたが。
「大丈夫ですか！！」
「俺なら心配はない。それよりもスイは戦わなくていい。俺が戦うよ。ここは俺の土地だろ。俺がやる」
流血したのを見て、スイは慌てていた。
そこを静かにさせておくのも俺の役目だ。
「敵はフェンリル族。フランツ様の身に何かあったら困ります」
「心配いらんよ。俺には錬金魔法があるだろ。スイは俺の錬金術を信じなさい」
「はい」
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