『錬金271話 モフルン視点 商人クスは笑う』
『モフルン視』
「おおお、本物のフェンリル族か! 絶対に見れない魔物だ、レア物だな」
「嘘みたいだな、伝説の魔物と呼ばれるフェンリル族をこの目で見れるなんてよ、信じられんな、あはははは!」
「クス、良くやった。完全にしびれているのだろ」
「女のフェンリル族はしびれてる。残りの二人は少し吐いたみたいだが、動けないから大丈夫だ」
仲間が複数人現れて、珍しそうに私を見ているのは屈辱です。
そりゃそうでしょうフェンリル族は滅多に見れませんからね。
「オイラ達をどうする気だ」
「ふふふ、おしゃべりはできるようだな。まぁどうせ動けねえから教えてやろう。俺らは盗賊団だ。クス盗賊団、聞いたことあるか?」
クス盗賊団!
盗賊団だった。
盗賊団てことは、金を盗んだり、貴重なアイテムを盗むのだろう。
でも私は金は持っていないのに、なぜ私らをしびらせる意味はわからないな。
「知らない」
トラムも知らないのは当然だった。
本来ならトラムが瞬殺していても不思議はないのに、トラムもしびれているのだ。
サラも同じくらいか。
それをわかっていて、フェンリル族を前にしている。
「そうか知らないかよ、残念だな。ちょっとは有名な盗賊団なんだけどな。でもしびれ薬なしでは近寄れないのも確かだ。俺たちの仕事はここまでだ、あとはゲート様に引き渡すだけだ。あははははは、さぁ、3人をゲート様に連れて行くぞ」
誰だ、ゲート様て。
様をつけているから、クス盗賊団を指示している人物なのは確定か。
ゲートに引き渡すといったから、ゲートは私達がフェンリル族なのを知っていて、そして何やら企んでいるわけですが、ご主人様に申しわけないです。
もしかしたら、ご主人様に迷惑がかかることもあり得るし、それは避けたいです。
うう、体さえ動けば、こんな盗賊団なんて一撃なんだけどなあ。
「さぁモフルンよ、ゲート様に引き渡すからな。悪く思うなよな」
「あああ、離せ〜〜〜」
クスの仲間に抱えられる私。
やめろ、お前らに抱えられる私ではない!
私を抱えられるのはご主人様だけだからな。
とはいえ、私は無抵抗です。
何もできないのは、完全にしびれていますし、蹴りも爪も出せません。
そのままお店から抱えられるまま、出された。
「モフルン!!」
「モフルン!!」
トラムとサラは私からは見えないけど、同じように連れて行かれると思う。
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