『錬金205話 トラム、魔王を偵察する』
「おいおい、お前らはどこから来たかな。ここは部外者は立ち入り禁止する。最初に名前をいってくれるかな」
俺のところに名前を言えと言ってきたのは、若いガキの男だった。
生意気にも魔王を前にして名前を聞くとは、農民にしては勇気のあるガキだな。
それにしても変だな。
このガキから気配を感じなかったが、どうやって俺の近くで来たのか?
「魔王様、ビビがこいつをぶっとばしてやります!」
「待て、俺がやる、ビビは待っていなさい」
「はい」
とりあえず、このガキが何者かわからない以上はビビは下がらせた。
ビビは危うく殺しちゃうしな。
「俺の名前はストラマーベルだ。この農村にはフランツという男がいると聞いたのでな、探して来たのだが、知っているなら紹介してくれないかな」
優しく言っておく。
あえて魔王の雰囲気は隠した。
「ストラマーベル。オイラはトラムだ。村長からは農村の偵察役を任されている。フランツ村長を知っているなら、知り合いか、またはこの前来てボコボコにされた勇者パーティーの仲間か?」
「勇者をボコボコにしたのか」
俺は聞いてない情報だぞ!
勇者パーティーをボコボコにするてのは、超絶な力があると見ていい。
やはり魔竜がいるのかもな。
面白い、魔竜がいるならいるで、やってやろう、俺は魔王だ。
魔竜を怖がることはないのだ。
「ボコボコにしたら逃げた」
「トラムと言ったけか。お前に良いことを教えてやろう。俺はフランツの仲間とも違うし、勇者パーティーのクソやろうとも違うな」
「じゃあなんだい?」
「知りたいか、教えてやろう、俺は魔王だ、魔王ストラマーベルだ、どうだ驚いただろ!」
最初は魔王を隠したが、勇者パーティーが来ていたとも判明したし、間違いなくここが目的地だとわかったなら、魔王と伝えてもいい。
こんなガキを殺してもつまらないし、意味もないので、脅しておいて、フランツとの交渉の人質にしてやる。
ふふ、ガキは使えそうだな。
フランツが農村の付近にトラムを警戒させておいたのが失敗だったな。
俺に利用されるのも知らずにだ!
「魔王か、それで魔王が何用だよ。要件だけ言ってくれ。村長は忙しいから、会うのはダメかもだしよ」
「なんだと!! 俺が魔王と言ったのに、今は忙しいておかしいだろ! それにお前は俺が怖くはないのか、魔王だぞ!!」
なんだこのトラムとか言うガキは、魔王と聞いても驚いたそぶりがない、不自然だ。
それとも魔王という存在を知らないのかもだ、そうだ、そうに違いない。
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