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『錬金174話 魔竜さんと知る』



 グラティアスはもうボロボロですし、立てないくらいにやられた。

 これでもスイは本気じゃないから恐ろしいですね。

 伝説の魔竜と戦っているとは、まだ三人とも知らないだろう。


 まさか魔竜が相手とは。

 知ったらどんな顔するかは、見てのお楽しみでもある。

 散々俺を笑っていたから、逆に笑ってやろうかな。


「……誰だ、この女は……」


「強い、強いよ、女。マジで強いよ。フランツの仲間なのか、なぁ、フランツの仲間なのか、答えろ?」


「私の正体をまだ知らないみたいですよ、フランツ様」


「うん、グラティアスに言っておくけど、彼女の名前はスイ。俺が付けた名前。そして彼女は今は人型の姿をしているけど、元は違った姿なんだ」


「違った姿だと? 何者だ、教えろよ!」


 口から血を吐きながら言った。

 苦しそうであったが、それでも知りたいらしい。

 知らない方がいいこともあるて聞く。

 まさに今はそれだ。

 絶対に知らない方がいいと思うが、知りたいて言うなら教えるべきか。


「スイはアイスドラゴンなんだ」


「………」


 一瞬の間があった。

 グラティアスとミーシャとフィーネルは沈黙したから。


「なんて? おいフランツ、なんて言ったかな、俺にはアイスドラゴンて聞こえたぞ?」


「アイスドラゴンだよ。彼女はアイスドラゴン。聞こえた?」


「なんですって!! あのアイスドラゴンなの!」


「ドラゴン…魔竜てこと、伝説魔物であり、世界最強の魔物、魔竜!!」


「そうよ、私は魔竜で〜〜す。伝説て言われても知らないけど、魔竜の一人。どうもはじめまして勇者パーティーさん」


 スイは笑顔で自己紹介した。

 いや、魔竜に自己紹介されても、された方が困る。

 答えようがないです。

 まだグラティアス達は受け入れられていない様子。


 そりゃそうだろう、こんな辺境の地に来て、まさか魔竜がいるとは誰も思わないよな。

 

「魔竜がなんで、フランツの農地にいるのだ。いるわけない、もし本物の魔竜が。魔竜は最強生物で、俺ら勇者パーティーですら避けていたのだ。魔族との戦いがあるし、魔竜を相手にすることは極力避けた。それがなんで農地に!」


「どうも褒めていただいてありがとう。本物の魔竜です。私はフランツ様の下僕です」


「下僕? まさかだよな?」


「いいえ、フランツ様と戦いまして、負けましたの。魔竜は負けた人に従う習性があるの。それでフランツ様に従いましたのよ」

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