『錬金167話 勇者視点 フランツの居場所』
勇者視点です
現金がなくても土地が購入できるだと?
こいつの話をどこまで信じたらいいのだろうか。
常識的に考えて有り得ないよな。
そうなると俺から金貨一枚を取って、適当な話をしているのかだ。
いや、誰だって疑うよな。
だが金貨一枚を払ってしまったので、もう少し聞いてやろう。
「意味が分からないな。世の中に金が無くて買える土地があるっていうのを信じろと」
「旦那、それがあるらしいです。クリア伯爵は、このターバンド国でも指折りの資産家だ。領地を多く所有している。うらやましいですね。ほんのちょっとだけ分けてほしいですよ。それはいいとして、クリア伯爵は王都から離れた、かなり遠い場所に領地があり、その領地はとても荒地でどんなに資金と人手をかけても使えない土地らしいです。農作地にも適さないし、水もないし、何の役に立たないと。しかもその領地の近くで、伝説の魔物を見たともあり、領地を管理する人もいない、いわくつきの土地なんです。まあ伝説の魔物てのは都市伝説ですけどね。それでクリア伯爵は代々長い間その領地を困っていた。そこへフランツという人物が無料同然でいわくつきの土地を購入する契約をしたと話していました。なにせクリア伯爵からしたら、その領地を所有しているだけで管理費用やら資産税も取られていたので、無料でもいいから売却したかったと聞きました」
「何の役に立たない遠い辺境の領地か。ただ辺境の領地を購入してどうするつもりだろうか」
クリア伯爵が辺境の領地を売却したのが本当だとして、使えない領地を買ってどうする。
フランツがそんな面倒なことをするかな。
あいつは使えない低ランク錬金術士でしかないが、あえて俺から遠くに行きたかったとも考えられる。
別人の可能性もあるが、捜索する価値もある。
「旦那の探している人物とは別人だったら申し訳ないです。あとですね、そのフランツは勇者パーティーを追放されたらしいです、これは噓でしょうね」
「ありがとう、役に立ったよ」
情報をくれた奴は、いい加減な奴だと思って聞いていたら、最後にとんでもない言葉を残した。
勇者パーティーを追放されたというのは、あのフランツしかあり得ない。
確実にあのフランツ本人だ。
貧民街から去る。
「びっくりした! 勇者パーティーを追放されたて言ったら、あのフランツでしょ」
「適当な話にも聞こえたら、フランツだよ、フランツしかいないよね、グラティアス?」
「フランツだろうな。ただ目的がわからないが、その辺境の領地にいるのなら、俺は行く。あいつには聞きたいことある。俺に呪いか何かをしたのかを説明させる」
貧民街を去り、フィーネルとミーシャはホッとしていたものの、フランツとわかる話には驚いていた。
俺もだが。
「グラティアスが行くなら行くわ。場所は遠いみたいだけど。グラティアスから逃げたくて、わざわざ遠い辺境まで行ったのかも。そう考えるとグラティアスは余程嫌われているのよ」
「納得、グラティアスを嫌いだし、恨んでいるよ。追放した時のフランツの顔は信じられない顔をしてたもん。調べれば場所は特定できますよ。移動は馬車でしょうね」
「よし、早速ですが出発の準備に取り掛かろう」
「その前にさグラティアスに言いたい、私のスカートの中を見せたでしょ、最悪なんですけど」
「ああ、その件か、いいだろ見せるくらいなら」
「いいわけない!!」
王都の貧民街から上流階級の地域に行くと、気持ちが良かった。
俺たちの住むとこは上流階級街にある高級宿だ。
移動や転居が多いので、高級宿を利用している。
最低の水準にある貧民街とは、天地の差だった。
金貨二枚を与えたが、情報は取った。
それからクリア伯爵の売却した辺境の領地を調べたところ、実際に存在していた。
そして聞いた通りに、ただ当然で売却したとも判明した。
偽の情報ではなかった。
うふふふふ、覚えていろよフランツ、俺が行ってやるからな。
俺の顔を見たら驚くだろうな。
ふふふ、俺から逃げて辺境の領地に行ったのだとしたら、とんだ大バカ野郎だ。
馬車で移動すれば、遠いが行ける。
待ってろよ、錬金術士!!
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