『錬金132話 フェンリルと食事』
「なんと、調理道具と家も作れるの!」
「器用だな!」
「オイラにも錬金術教えてよ?」
「いいよ。教えてあげるさ。トラムが興味あるならな」
「錬金術士のフェンリルになる」
「初めてだろう、俺は聞いたことないな、我々一族から錬金術士になった者は」
「あははははは、トラムは錬金術士か、面白いな」
パタゴナは笑った。
やる気があれば錬金術士にはなれる。
しかも高い魔力のあるフェンリル族だし、適正があれば、なおいい。
ただ一族には誰も錬金術士になった者はいないらしい。
そこは超戦闘専門の一族らしい。
「フランツ様、焼き肉とご飯は、すこぶる評判いいですね。私は絶対に口に合うと思っていた。だって美味しいのだから」
「ありがとう。ご飯はいっぱいあるので、食べたい人にあげてくれ」
「そうね!」
コメの追加もあった。
そしてまだあるのは、酒だ。
これは始めてテーブルに出る。
街で購入した物だ。
麦酒のビールと米酒だ。
どちらも醗酵食品である。
動物や獣は、普通に醗酵食品は食べない。
腐っているとなるのか、食べないのだ。
さぁ、どうなるかな?
リアに言って運んでもらおう。
「リア、これを運んで欲しい。最後の料理だ」
「な、何これ? 変な匂いする!」
スイは匂いをかいで、嫌な顔をした。
やはりこういう反応するか。
街にいる人なら知っているだろうが、ここにいる日とは全員、街には無縁。
魔竜も精霊もフェンリルも、人と合わない生活をしていた。
人族は酒を飲む。
魔族も飲むらしい。
魔族は人族の街を襲うからで、人族の食べ物は全部知っていて当然だ。
「リアも知っているかい?」
「うわっ、なんか腐った匂いする!」
「大丈夫だ、飲んでみな」
「ええっ、腐ったのを飲ませるの? フランツ、酷いよ!」
「これは人族が好きな酒だ。腐ってはいるが、醗酵なんだ。飲むと気持ちよくなる」
「醗酵? 知らないな。でも人族の料理なら、飲んでみようかな」
リアは俺に説得されて、恐る恐る口にした。
ゴクリと飲むのをスイは横で見ていた。
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