『錬金122話 フェンリルの神殿』
モフルンが、もし人質になるのは嫌だな。
母親のパタゴナが娘を人族にされたなら、もっと嫌か。
一番最悪な形になる。
逆らえないもんな。
魔族ならしそうだが、人族もするのかな?
圧倒的に魔族の方がしそうだけど。
「人質にするのはわかりました。とても嫌ですし、母親ならモフルンが人質になるのは最悪でしょう。魔族が人質にするのは何となくわかるけど、人族も汚いやり方するのかな。俺のイメージでは人族は、そこまで汚いやり方しないかなて思うのです」
「フランツ。それは逆よ」
「逆!」
「それじゃ人族もすると?」
「むしろ人族の方がやる。魔族よりも汚いの。やり方に関しては過去に人族には人族に仲間を取られたし、何度もあると伝わる。逆らうと仲間を平気で殺しちゃうの。本当にあった歴史です」
まさかな、魔族よりも人族がやるか。
俺のイメージは、先入観だったみたい。
むしろ人族の方が酷いことを平気でするのは、欲深いのかな。
自分の欲のためなら何でもするのが人族だとしたら、それが本質なのかもな。
それは俺にも当てはまるのなら、気をつけたい。
そんな人間になるのはごめんだしね。
「人族も危険なのよ。実はね」
「フランツも人族でしょ、危ないのかな」
「リア、俺は大丈夫だよ。みんなを人質にして、高値で売ったり、金に替えたりしないさ。でも悪さをするなら、考える」
「ああっ、フランツ様、仕事します、スイは仕事しますから!」
「私の山にあるキノコ、好きなだけ取っていいです!」
「冗談だよ」
もちろんそんなことはしませんけどね。
「お母さんは、私が魔族か人族の人質になる可能性を考えて、心配して来たの?」
「そうよ。娘を心配しない母親がいますか。あなたが居なくなってこの領地にいるのを知ってましたから、早めに連れ戻すことにしたの。フランツのことは諦めて、一族と一緒にいなさい。それが一番安全なの。私といたら、魔族が来ようが怖くありません」
娘のモフルンが万が一にも拐われる可能性があった。
過去にも人族がそうした卑劣な行為をしていたのだった。
それで心配してモフルンを連れ戻す。
母親の気持ちまで考えられなかったのは、俺の浅さだな。
魔族が来るなら大群でもある。
俺の領地に来ることもあるわけだ。
もし来るなら危険が迫っているとなる。
優雅にスローライフしている場合じゃなくなるな。
下にある★★★★★から評価してもらえると嬉しいです(^^;




