『錬金109話 勇者グラティアス視点』
王都に帰った。
依頼が終わると、冒険者ギルドに帰るのが一般的だ。
回収した素材と魔石を届けて報酬を得るからだ。
稲妻の連中は、喜んでいたのはケンタウロスを討伐したからだ。
そりゃ、自慢できる戦歴になるし、ギルドの評価は上がるだろうな。
BランクのパーティーがAランクの魔物を討伐すれば、ギルドマスターからは高評価される。
もちろんBランクの魔物でも問題はないが、高いランクの魔物を討伐した方がより高評価となる。
自分のことだが、俺もそうやってSランクパーティーになった。
だから気持ちは理解できる。
ギルドマスターのタップが来た。
こいつは俺よりも遥かに年上の男だ。
現在はマスターをしているが、以前は現役の冒険者だった。
まあ俺ほどではないが、Aランクまでは、いったと聞いたことはある。
その後に引退して現在のマスターの職になったらしい。
厳しい面もあるし、かなり面倒な性格だ。
俺が依頼を失敗すると、異常なくらいに怒り出す。
それなら、テメエで倒してこいと言いそうになるのを我慢している。
そんなうるさいタップの所に稲妻のダレンムルが報告する。
ケンタウロスを討伐したこと。
ベヒーモスはミーシャが追い返したことを報告した。
報告を受けたタップは、
「良くやったぞ、ケンタウロスはAランク級の魔物だ。それを討伐したのは高評価だ。ベヒーモスに関しては、追い返すだけで十分だ。あれは超レア魔物。倒せないのは承知している」
「はい」
ケンタウロスを討伐し、タップが微笑ましいのがムカつく。
結果さえ出せば、笑顔だなコイツは。
「それでと、ベヒーモスは魔法使いのミーシャによる追い返すのに成功したと報告された。ケンタウロスは、勇者グラティアスが討伐したものと思っていいかな。それで稲妻と鬼龍の団らは、グラティアスの補助をしたのだろ。メインの攻撃、剣術になるが、グラティアスがして、補助的に稲妻と鬼龍の攻撃をする形だろう。よくぞグラティアスの補助をしてくれた。ギルドも助かった。報酬はグラティアスに渡すので、グラティアスから、分けてもらえ」
タップは俺がケンタウロスを討伐したと思い込んでいた。
普通に考えて、稲妻と鬼龍のパーティーはBランク。
対してケンタウロスはAランク魔物だ。
俺がメインに攻撃し、稲妻と鬼龍はサポート役に徹したのだろうと思う。
当然だよな。
でも、実際には俺の剣術はカスリ傷くらいだったのは、なんて説明するかだな。




