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あの空に焦がれた
太陽はアスファルトを溶かすようにその熱を放っていた。真夏の空は青々と澄んでいた。外の厚さを感じながら起きた時にはもう遅かった。
「はぁ、―――は、っはぁ」
額を流れる汗を無視して、ただただペダルを踏みつける。
(あの角まで行けばっ)
最後の難所であるこの坂を乗り越えれば後は下りである。渾身の力を籠め踏みしめる。
「はぁぁ」
車が僕の横を通りぬけていく。自転車の籠に入った紙袋は少し撚れてしまっていた。
―――ぽつ
想いもよらなかった。雨だと気付いた時には僕はもう濡れていた。これが通り雨と呼ばれることは知っているが、どうしてこんな時に。
目的地まであと350メートル。紙袋は本来の色を失い、濡れた色に変わっていた。ずぶ濡れの僕の姿にすれ違う人が驚いたような目を向ける。それでも僕は走る。
駅のホームに駆け込む
もうそこに君はいなかった
立ちすくんだ僕が見上げた空は晴れ渡っていた。たった数分だった。
あの空に焦がれた