繋がれる想い
あと、あと、あと、10メートルッ
鉛のように重い足を奮い立たせ、風を切る
駅伝。20に別れた区間をたすきをつなぎ、速さを競う。昨日行われた往路、10区間は2位と上々の成績。ここ数年、2位と3位を行ったり来たり。今年こそは、と言われた。1位にこそ、意味がある。
最終区間。ここですべてが決まる。俺が入ったことで、出れなかった3年生がいる。デカいプレッシャー。
沿道の観客の声。サポートメンバーに入る連絡。
「リク!遠藤さんがッ!!」
例年にない、高い気温。脱水症状を起こした先輩。1位を走っていた先輩は残り3キロで3位。中継で見た先輩は、まっすぐ走ることさえ、できていなかった。
リタイア。そんな言葉が囁かれる。
(先輩ッ)
遠くに先輩の姿が見える。目はうつろだが、確かにこちらをみた。観客の声援は悲鳴のようだった。もつれるようにして、先輩が来る。たすきが繋がれる。一瞬触れた指先は氷のように冷たかった。
「 」
ペースなど考えず走る。監督が何か言っていたが、聞こえない。上がる呼吸。ハイペースなのは自覚ずみ。
残り半分。3位。
給水所には高橋先輩。俺が出たがら出れなかった先輩。きっと、あんまり好かれてはいない。
「とってくれ…。頼んだッ」
市街地に入る。
残り5キロ。2位
足が笑う。呼吸が乱れる。
残り2キロ。先頭の姿を捉える。
周りの音が聞こえなくなる。
残り1キロ。
500メートル。
200メートル
100メートル
50メートル
手を伸ばせば届く距離。
30
20
あと、あと、一歩…
目の前で切られるゴールテープ。
倒れ込む。息ができなくて。苦しくて、苦しくて。
「はぁ、はぁ、あ、あ、アアーーーーー!!」
あと、あと一歩…。
「リク…、頼ん、だ…」
先輩の声が木霊した。