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一輪の花
急いでいくことなんてないんだ。
少し遠回りをして幸せの花を摘みにいこう。
花束には出来なくても、一輪だけなら神様だってきっと目を瞑ってくれるはず。
だから、僕の手をとってくれるかい?
君と一緒にその花を摘みたいんだ。
僕たちに許されたたった一輪の花を。
戸惑うように伸ばされた手をつかんで、僕たちは歩き出す。
急いだって良いことなんてなにもない。
立ち止まったって良い。
ゆっくりで良いんだ。
どんなに抗おうと結末は一つだけだけれど、
そこに行きつく道筋が曲がりくねっていた方がきっと得した気分になるんだよ。
一輪の花を携えて、僕は君と歩いていこう。
この物語が終わるときまで。