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夜闇に棲む  作者: ましの
14/16

幸福の定義

わたしは幸せだ

両親に出会えて

祖父母に出会えて

兄弟たちに出会えて

これ以上何も欲しがりはしないので

これ以上何も奪わないでください

唯一の望みは叶えられることはなく

失うばかりの人生に

道程に立ち止まって絶望している

引き返せるのならどれほど幸せだろう

けれどその選択肢は最初から存在していない

あるのは終わりの見えない過酷な道だけ

振り返っては幸福だった頃を思い出して

二度ともどれないことに悲観する

先に待っているのは想像もできないほどの絶望と苦しみだろう

暖かな記憶に浸って消えてしまうのも悪くない

明日が二度と来なくても

わたしは幸せなのだ

悶々と生きている

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