雪雲
凍てつく世界で立ちつくす
空からはらはらと雪が舞い足元を埋めつくした
凍えていくだけの手を握りしめて雪雲を見上げる
吐く息が白く煙り消えた
もしも君がここにいたのなら心配そうな顔をして「早く帰ろう」と言うに違いない
けれどそれは僕のただの想像で実際君はここにはいない
「どうして」と問いかけたところでもう君に届くことはないのは知っている
それでも何度でも叫びだしたくなるんだ
もしかしたら気づいてくれるのではないかと思うから
何度流したかわからない涙が頬を伝って衿を濡らす
乾ききる前に凍ってしまいそうな涙のあとを辿るように風があたる
ふと風に舞う雪がきらりと輝いた
導かれるように顔をあげる
厚い雲が割れてその向こうにはっとするほど青い空が覗いていた
その隙間で太陽が輝いている
まばゆい光を覆い隠そうと雲が風に押されて迫ってくるのをまるで誰かが阻止するかのように雲が割れていく
誰かが?
もしかして君なのか?
もう届くことはないと嘆く僕に君は「聞こえているよ」と知らせているのだろうか
そう思うと幾分か心が晴れた
僕たちの絆が切れてしまった訳ではないんだ
そして僕は歩きだす
君の分まで