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さよならのかわりに
さよならのかわりに ありがとうを贈るよ
あなたたちのいない世界を知らなかった
そこは途方も無く暗い場所なのだろうか
さよならが怖くて誰よりも先に消えてしまおうと思っていたのに
いつもいつも置いてけぼり
さよならは冷たくてとても痛い
積もるばかりの痛みに押しつぶされそうになっても
あなたたちはフレームの向こうでいつも優しく微笑んでいた
わたしよりもずっと苦しかっただろうに
それでもずっと笑っている
近くにいるのかもしれないけれど、その距離は遠くて
ふさぎこむわたしの心は小さな印にも気づけなくて
さよならを繰り返すたびに閉じて固まっていく
慰めるような春風が涙に触れて拭うようにさらっていく
元気づけるように一面に咲く花を揺らしながら
鮮やかな色彩に目を奪われて、そして気づくんだ
あなたたちがたくさんのありがとうを残していってくれたことに
別れのたびに凍りつく心はやがて癒えて
いつか、この風の向こうに行く日が訪れたら、きっとまた会えるだろう
遠い遠い日々の向こうに
だから、さよならのかわりにありがとうを贈るよ
お別れもできずに、ごめんね。