序章3
タイトルを少し変更しました。
「こんにちは! 僕の名前はイア。このマナマムの公式キャラクターだよ」
モニターに現れたのは、愛嬌がありながらも、ユズトにとっては少し不気味なキャラクターだった。
「今回、みんなに来てもらったのは他でもない、商品化に向けてのデータ収集だったよね。でも、本来の目的はそこじゃないんだ」
「みんなにはとある実験に協力してもらうね」
ユズトはこのキャラクターが何を行っているのかよく分からなかった。
「みんなにはあるゲームをしてもらうよ。その名もハイランカー!」
イアは勝手に話をどんどん進めていく。
「ルールを説明するよ。まず、机の上にあるデバイスを見てね」
ユズトは机に目を向けると、そこには何かコンタクトレンズのようなものが透明なケースに入っていた。
「じゃあ、まずはそれをコンタクトレンズと同じようにして目に装着してね」
(目に装着って……)
ユズトがたじろぐのもそのはず、急に始まった出来事について対応できておらず、それに加え、コンタクトレンズをつけたことがないからだ。
「もうつけ終わったかな?」
早すぎる確認にユズトは急いでそれを目に装着しようとする。
しかし、なかなかできない。
口が開き、涙目になりながらも、やっとの思いで装着できたのと同時にイアの話が始まった。
「そのコンタクトレンズはただのコンタクトレンズじゃないよ。それはスマートコンタクトレンズといって、ARの技術が組み込まれているよ」
「手の動きに合わせて色んな操作ができるんだ。じゃあ、手を目の前で下から上にスライドしてみて!」
ユズトは言われた通りに手を目の前で下から上にスライドしてみる。
すると、そこには1,000,000という数字が表示された。
「今みんなの目の前には百万という数字が表示されているね。それがいまの君たちのランクだよ」
「そこで、みんなには高ランクを目指してもらうよ。結論から言っちゃうけど、上位10パーセント以内に入らなかった者は死んじゃうから気をつけてね!」
(死ぬ?)
その瞬間、ユズトの頭の中は真っ白になった。
その後も何かイアが話していたが、ユズトには何も頭に入って来なかった。
左から右に抜けて行くように。
呆然と立ち尽くしたまま時間だけが過ぎて行く。
「説明はこれで以上だよ。聞き漏らしたり、分からないことがあったら、目の前を指でタップするとメニューが開くからそこから確認してね。じゃあ、みんな、ハイランカー目指して頑張ってね!」
その一言でモニターの画面がプツリと切れてしまった。
ユズトはトボトボと窓の近くまで歩いていき、外を眺めてみると、そこには大勢の人がパニック状態になりながら、あたふたとしていた。
そして、ユズトはベットの方にゆっくりと歩み出し、ドサっとベットに倒れこみ、そのまま深い睡眠に入ってしまった。
ユズトは深い睡眠から覚め、目を開けようとするがなかなか開けられない。
それどころか、痛みさえ感じる。
ユズトは手探りで、洗面所まで歩いていくが、なぜか先ほどから知らない手触りと空間にいるように感じた。
そこで、ユズトはハッと思い出す。
(そっか、俺は……)
洗面所の場所なんて、覚えていないがとにかく手探りで探していく。
やっとの思いで見つけ出し、目を水で洗い流す。
すると、目に装着しているスマートコンタクトレンズは取れ、瞼がやっと開きだした。
鏡を見ると、目は充血しており、それに加え、ひどい顔をしていた。
あまりにもひどい顔をしていたので、ユズトは無理やり笑みを浮かべると、部屋に戻り、何か目薬のようなものがないか探し出す。
棚に救急箱のようなものが置いてあったので、その中に入っていないか見てみると、それらしきものがやはり入っていた。
(これ、目薬でいいよな)
視界が若干ぼやけて、よく見えていないため、確認することはできないが、とりあえず目に刺して、しばらくの間目を瞑っていた。
数分後、目を開けると視界はクリアになっていた。
鏡で目を確認しても、さっきまであれほど充血していたとは思えないほど、正常に回復していた。
(すごい効き目だな)
目薬の性能に感心していると、急にイアについて思い出す。
(確か、分からないことはメニューに書いてあるって言っていたな)
ユズトは嫌々ながらも、もう一度スマートコンタクトレンズを目に装着した。
(こうするんだっけ?)
ユズトは指で軽くタップする動作をすると、メニュー画面が表示され、そこのマニュアルを選択すると、さらにいくつかの選択肢が現れ、その一つに"ハイランカーについて"というものが目に入った。
序章はこれでおしまいです。
GWの時期だけなるべく毎日更新します。
なるべく......