序章2
連日投稿してますが、毎日投稿するわけじゃないです。
「お兄ちゃん、いつ帰ってくるの?」
妹の喜美が玄関先で首を傾げながら、ユズトに訪ねてきた。
「1週間後かな?」
「結構長いんだね」
「寂しいのか?」
ユズトは少しからかうようにキミに言った。
「そ、そんなことないもん!」
キミは少し涙目になりながら、大声でそれを否定する。
「冗談だよ」
ユズトはキミの頭に手を置き、行ってきますと声をかけ、ユズトは母の美香の方を向いた。
「じゃあ、ミカさん行ってきます」
「行ってらっしゃいユズト君」
父の再婚相手のミカに、微妙な距離感を出しつつも挨拶をした。
そして、ユズトはスペースの日本ブースがある東京へ向かった。
ユズトは集合時間にだいぶ遅れていた。
東京駅に着いてから急いでタクシーでスペースの会場へ向かう。
そして、その会場に着くと、多くの人で混雑していた。
(え~。こんなに参加者がいるんだ)
その数ざっと数万人。
(周りの人、みんな外れてたのに)
自分の周りの人たちの運の無さに落胆しながら、どこに行けばいいかあたりをきょろきょろと見回していると、当選者はこちらという文字が目に入った。
しかし、そこはそんなに人が並んでいる様子ではなかった。
(なんでこんなに空いているんだ?)
ユズトは不思議に思いながら、そこに向かおうとすると、多くのカメラを持った人がユズトを取り囲んできた。
「あなたも当選したんですか?」
「当選した現在のお気持ちをお聞かせください」
どうやらマスコミ関係の人らしい。
「え!? あっ、その」
ユズトのコミュ障パワーが炸裂しながら、あたふたしているとスペースの関係者と思われる人がこちらに向かってきた。
「ウチダユズト様ですね?」
ユズトは軽くうなずくと、その関係者は「こちらです」と、マスコミを追い払い、ユズトを室内まで誘導しようとした。
ユズトもその誘導に従い、その女性について行った。
室内に入る瞬間に、外からは大歓声が聞こえたが、あれは何だったのか、ユズトには分からずじまいだった。
室内に入った瞬間に、ユズトはそのひんやりとし、妙な静かさに、外とのギャップを感じていた。
「日本人はあなたを含め、約4500人が招待されています」
「他の方は既に出発されています」
いきなり、説明しだした女性に対して、ユズトは無言で話を聞いていた。
「この先に、我が社が開発した空間転移装置があります。非常に精密な機械となっていますので、勝手に触れないようにご協力お願い致します」
女性は丁寧に注意を促していると、ユズトの目の前にそれらしき大きな機械が自分を迎えていた。
高さは10M弱ぐらいあるだろうか。
奥行きも数十Mはあるぐらいとても大きな機械だ。
(でけ~)
ユズトはこの大きさにあっけらかんとしていると
「これでも、だいぶ小型化されているんですよ」
(これで小型化されているって、もともとどんだけでかいんだよ!)
心の中で軽くツッコミを入れていると、女性はなにか設定をし始めた。
「では、準備してください」
「え? なんの準備ですか?」
「転移の準備です」
「もう出発するんですか?」
「はい、そうでございます」
いきなりの出発にユズトの鼓動は早くなる。
「では、そこに寝そべってください」
ユズトは女性の言われた通りに、よく分からないが、カプセルホテルぐらいの大きさの箱に横たわる。
「向こうに着けば、またそちらで案内がございますので、あちらの誘導に従ってください」
「では、出発まで、5、4、3」
いきなりカウントダウンが始まる。
ユズトの全身からは、不安からなのか、嫌な汗が次から次へと流れ出る。
「2」
ユズトは目を強くつむった。
「1」
(来る!)
「いってらっしゃいませ」
特に何か体に起きたわけでもない、痛みも感じないし、意識もちゃんとある。
ただ、空気が一瞬の内にして、変わったのはすぐに分かった。
ユズトは瞼をゆっくりと開けると、そこには大勢の人で溢れかえった、どこかにいた。
それも良く見ると、ほとんどが外国人だった。
「ユズト様こちらです」
今度は男性の係員に声を掛けられた。
男性に連れられながら、辺りを見回すが、やはりどこを見ても、外国人だらけだった。
「一度、こちらにお立ちください」
立たされたのは、今度は家の扉サイズのゲートのようなものだった。
「今から、ユズト様専用のホテル部屋まで、転移します」
(また、転移?)
ユズトが不思議に思ったのもおかしくはない。
先ほどまでの転移装置とは大きさも手法も随分と異なるからだ。
「では、転移します」
再びカウントダウンと共に、ユズトは再び強く瞼を閉じる。
そして、次に目を開けると、そこにはいかにも高級そうな部屋の光景が辺り一面に広がっていた。
(一体、普通に泊まろうと思ったら、いくらするんだ?)
そんな疑問を抱きながら、部屋全体をぐるぐると散策する。
そして、ある程度部屋を見回ったら、巨大なベッドに向かって、思いっきり走り、ダイブした。
反発力がありながらも、そのベッドはユズトを優しく包み込んでくれる。
しばらく、ベッドでゴロゴロしていると、いきなり部屋のモニターに電源が入りだした。