F‐4出撃
ミーリャ、マリ、ジェーニは戦艦「長門」に乗り、斜影を追う。
随伴艦は軽巡洋艦「酒匂」と僅かな海防艦。
マリが千里薬で遥か彼方の海戦の様子を見た。
「矢矧が―。」
矢矧がバラバラに砕けて沈む様子が見えたのだ。
「乗員は駆逐艦に移乗。しかし、かなりやられています。敵の竜騎士団も勢い止まらず。行きます。」
マリが「酒匂」の方を見る。
「この船では、間に合いません。また、エンノシマ攻略のための空中騎兵隊は別のルートでエンノシマを目指しております故、今、竜騎士団を薙ぎ払いに行けるのは、あれだけです。」
「酒匂」にはF‐4ファントムが搭載されていた。
F‐4を載せるため、突貫工事で甲板が整備された「酒匂」だがカタパルトから飛ばした事はない。
「ジェーニ様。お願いします。」
ジェーニが肯いた。
「ミーリャ。」
「一つだけ条件を付ける。生きて帰って来なさい。魔道具が無くても、貴女達が生きて帰って来れば、それで良い。」
艦長席に座るミーリャはそう言った。
小型艇で酒匂に向かう二人を、艦橋から見送るミーリャは、艦長席に何かが刻まれているのに気が付いた。
「これは、リパブリック賛歌の歌詞?」
「酒匂」から強引に離陸したF‐4ファントムは、全力で斜影の居る艦隊を目指して飛ぶ。
兵装は空対空ミサイル満載。機銃満載。
しかし、竜騎士団をミサイルでロックオン出来るかが分らない。
レーダーが何かを捉える。
それは、竜騎士団が空中から行う魔法攻撃に反応しているらしく、数分間だけ写っては消えている。
だが、これでこのF‐4で艦隊に追い付くことが出来ることと、ロックオンが出来る事も分かった。
「目標まで後20分ってとこか。」
周囲を見ても、海と空が広がるだけ。
敵艦隊の姿も無い。
やがて、下方、雲の切れ間に船の航跡を見付けた。
それこそは、斜影の乗る艦隊だった。
竜騎士団に襲われ、空母から発艦した航空機も応戦しているが、苦戦している。
「大和」に向かって竜騎士が4人急降下する。
「AIM‐7全弾発射!」
空対空ミサイルAIM‐7を発射。ミサイルは弓の如く、竜騎士を直撃した。
「機銃戦闘!」
20ミリバルカン砲も火を吹いた。
竜騎士が一人、また一人と堕ちて行く。
下方を見ると、そこに軽巡洋艦「矢矧」の姿は無かった。
だが、一瞬、斜影と目が合ったように感じた。
(分かった。こいつらの母艦、仕留める。)
レーダーが、6人の竜騎士がこちらに向かって来るのを捉えた。
その方へF‐4を向ける。
(AIM‐9では、沈められないとは思うけど、敵艦隊に何らかの損傷は与えられる。真上でも、側面でも直撃させられれば―。)
竜騎士が目の前に来る。
「退いた退いた!異世界サバゲーマーと異世界自衛隊のお出ましよ!」
機銃掃射。
竜騎士は全滅だ。




