表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界サバゲーマー  作者: Kanra
異世界への招待
8/92

サバゲーマー

 憲兵隊の本部に斜影は連れて行かれた。

 ロンドンのビックベンのような建物だが、その隣には東京スカイツリーのような巨大な塔がある。

(カオスって言葉が似合うな。)

 と、斜影は思った。

 斜影は内閣の閣議前の控え室のような所で、タンクと話していた。

「空想科学小説は君の国にあるかね?」

 タンクが言った。

「はい。代表的なものが、私の時代の自衛隊―。要するにこの国で言うと貴方方憲兵に当たる物が、戦乱の時代に飛ばされるという物です。」

「異世界召喚されると言う話はあるか?」

「はい。状況は今の私とほとんど同じです。」

 使用人の女性が紅茶を持ってきた。

 斜影は一口飲んでみたが、それは現実世界の紅茶とほぼ同じ味だった。

「最も気になるのが、君の武器だ。一撃で敵を倒した。」

「エアーソフトガンと呼ばれる玩具です。玩具ですので、私の世界ではまず、撃たれても死なないです。しかし、この世界ではどういう理由か、倒せてしまったのです。」

「玩具?君は戦士や憲兵ではないのか?」

 タンクは驚いた。

「はい。私はサバゲーマーと呼ばれる者です。簡単に言うと、エアーソフトガンで戦うフリをする者ですね。」

「戦うフリだと?」

 タンクは笑った。

「フリであんな大立ち回りとはな。」

「私自身、信じられません。昨日の今日でこんな―。」

「面白い奴だ。気に入った。そろそろ時間だな。」

 と、タンクが言った時、マリが迎えに来ていた。

「ミーリャ様の護衛、頼むよ。異世界サバゲーマーさん。」

「もしよろしければ、私に剣術を教えてください。この世界の戦法は、剣術と思われますが、私は剣術については素人です。」

 斜影は言いながら、拾った敵の短剣を机の上に置いた。

「何に使うのだ?」

「ミーリャ様の護衛のため、私の武器に装着して戦います。」

「分かった。また後日、カトリーヌ邸にお伺いさせていただこう。」

 タンクは言い、斜影はマリの馬車に乗って帰路についた。

「厄介なことになった。」

「何がですか?」

 短い髪に眼鏡をかけたマリが振り返って聞く。

「この世界は、争いが絶えないのか?」

「はい。ことに、コロセアムとの関係に至っては紛争が絶えません。今日、ミーリャ様が襲われたのが良い例です。」

「俺のエアガンは、弾が無くなればただのカカシ。少なくともミーリャを守るって任においては、この世界の戦術を身につけないと―。」

 夕陽の中の一本道を、馬車は進んだ。

(世界は違っても、夕陽は同じか。)

 斜影は思った。

 だがそれは、斜影の現代世界に対する皮肉も含まれていた。

 それに、マリは気が付いた。

「立ち入った事を訊きますが、元の世界に帰りたいですか?」

 斜影はこれに、答えられなかった。

「なぜ、魔法使いでも超能力者でもない貴方が、この世界に居るのか、この世界に堕ちてきたのか、私には分かりません。」

「俺も分らない。」

 と、斜影が言った時、一番星が見えた。

「あの星はなんだ?」

 斜影は聞く。

「御存知ないのですか?あれは金星です。」

「そうか―。」

 斜影はこれを聞いて、もう帰る方法は無いと思った。

 ここは、別世界であるが、ジパングという国があるのは、地球の可能性が濃厚になったのだ。

 例え別の惑星系にある地球と同じ惑星だったとしても、まずどうやって別の惑星にやって来たのかさえ解らず、それ以前に地球と太陽系の天体を往復して帰ってきた宇宙船は、現実の地球にも「アポロ宇宙船」や小惑星探査機、彗星探査機以外に存在しない。地球から最も遠い宇宙へ行ったボイジャー宇宙船でさえ、太陽系以外の恒星に到達してはいない。

「また変なことを聞きますが、貴方は帰ったところで、居場所はありますか?」

「―。」

 斜影は黙り込んだ。

(そうだな。帰ったところで、居場所なんか無いだろう。)

「その様子から見て、帰る場所はなさそうですね。」

「何を考えているんだ。マリ。」

「いいえ。私はミーリャ様にお仕えするだけです。」


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ