新兵器
また戦いの足音が聞こえるこの世界。
斜影の楽しみは、ミーリャ達との食事と風呂だ。
しかし、皮肉なことに斜影を支配していた渇きというものが薄れてきていた。
(戦争すると景気がよくなるって言うのはこういうことでもあるのかな。実際、第二次世界大戦で負けた日本が高度経済成長に突入した背景には、朝鮮戦争ってやつがあったし。)
斜影は思いながら、BB弾を複製する。
弾薬の節約のため、今は極力、射撃演習は行っていない。
実戦の時に弾薬が無くなればそれで終わりだ。
「いっそ、レーザーガンってチート武器にならねえかなこの89式。」
とつぶやきながら、空の通常マガジンを挿して空砲を撃つ。
「わっ!」
反動で吹っ飛ばされる。
弾が飛んでいった先にあった物置小屋に着弾し、小屋がバラバラになる。
斜影は何が起きたか分らない。
何事かと、ミーリャ、マリ、ジェーニが飛んでくる。
カトリーヌや国会議事堂の職員も飛んできた。
「89式が壊れた―。」
としか、斜影には言えなかった。
「ちょっと何やってるのよ!」
ミーリャが血相を変えて言う。
「小屋が吹っ飛んだだけじゃなくって、着弾点に穴空いたぞ!何してんだ!?爆弾作るなら他所でやれ!」
カトリーヌが怒鳴る。
斜影は通常マガジンを抜いて中身を確かめる。
いや、確かめるも何も、BB弾程度の大きさで物置小屋を吹っ飛ばして大穴開ける威力のある弾頭なんか無い。
斜影は必死に、今、何をしたかを説明した。
「その89式から正体不明の弾が出て、小屋を吹っ飛ばしたって言うのか?」
「えっええ。」
冗談じゃない。
「海だ。海で試させてくれませんか?」
斜影はミーリャ達と共に、海岸に行く。
海で、最初に多弾マガジンを入れて空撃ちをしてみる。しかし、このときは何も出ない。
「嘘よ!嘘ならさっさと言いなさい!」
遂にミーリャまで怒鳴る事態になった。
「待ってくれ!俺がさっき撃ったのはこっちだ。」
斜影は慌てて、通常マガジンを挿して海に向かって撃つ。
すると、斜影の身体は後方に吹っ飛び、弾は海に着弾。巨大な水柱を作った。




