憲兵
ミーリャは避難していなかった。
なんと戻って来たのだ。
「斜影!」
「バカ!逃げろって言っただろうが!」
斜影が怒鳴った。
ミーリャの背後に敵が迫る。
斜影が敵に発砲した瞬間、別の方向から槍が飛んできた。
「ちっ憲兵だ!逃げるぞ!」
敵はそう言いながら、逃げていった。
「ミーリャ様おケガは?」
と、別の男の声。背が高く、透き通った目をした現実世界においてはイケメンと呼ばれそうな男だった。
「大丈夫よタンク。」
「ところで、あのお方は一体。」
タンクという男は斜影を見た。
斜影はショットガンからシェルを抜き出し、銃を地面に置いた。
「君は我々のなんだね?」
「敵ではありません。」
ミーリャは、
「彼は私のボディーガード兼、使用人みたいなもの。」
と答えた。
「使用人?ボディーガード?この国の人間ではないな。その上、武器を置くとは。」
「私の流儀です。敵ではない人間には武器を置いて接しろ。」
斜影は言い、自分の名前と日本と言う国から来たという事を言った。
「私は憲兵隊のアドミラル・タンク。」
と、相手も剣を地面に置いて答えた。
「日本という国は聞いたことないが、何処にあるのだ?」
「おそらく、異世界です。」
斜影はジパングに来た経緯を話した。
「異世界召喚―。我が国にはそのような能力を持つ者は居ないはずだ。」
「能力?」
「ああ。魔法。超能力を使う者の事だ。私はその一人であるが、槍を遠くへ飛ばすのが主な能力だし、そもそも異世界召喚が出来る者はいないはず。」
斜影はこの話で更にこの世界の情報を得た。
(超能力者や魔術師がこの世界には存在している。そうなると過酷な戦いを強いられる可能性がある。)
斜影は思い、落ちていた敵の短剣を拾った。
(89式の銃剣の変わりにはなるだろう。)
と、短剣を見ながら思った。
「しかし、面白い奴だ。それに興味がある。ミーリャ様。少しこの方をお借りしたい。」
ミーリャは肯き、
「メイドのマリに迎えに行かせるから、タンクと一緒に行きなさい。」
と、斜影に言った。