連合艦隊
カトリーヌは直々に、敵国コロセアムへの報復攻撃に参加すると言う。
ジパング帝国の軍港には世界各国からの戦闘艦や揚陸艦、海兵隊に陸戦隊が集結している。
「クソめ。あんなバカみたいに大艦隊を編成したって、艦隊決戦ならまだしも上陸してからが問題だ。そもそも、魔法攻撃の一発でやられんだろ。俺がジェーニを助けに行く時、なんでクソみたいにデケエ船を並べないで最低限の武力で行ったか考えろっての。俺なら、こんなずんぐりむっくりな艦隊にはしない。魔法攻撃の一発で皆殺しにされたら、どうするんだ。」
と、斜影は歯痒い思いで言った。
カトリーヌの留守中、斜影は臨時政権中に総統を務めることになったミーリャの側近ということになった。意外なことにミーリャが総統を勤めることに反対する民衆も官僚も皆無であったが、これは斜影が戦闘に加われないようにする防波堤にもなっていた。
「無謀な戦線拡大を許可して何がしたいのだ。」
「斜影。ミリタリーオタクで、サバゲーマーであっても、斜影は本当の軍事や戦争を知らない。」
と、マリが言う。
「自衛隊と米軍を見てきた。」
「ここは平和な世界ではない。自分を守るためなら、自分から撃って出なければならない事もある。」
と、マリが言った時、集結していた艦隊がコロセアムへ向けて出撃していった。
その艦隊にファーストスター級戦艦も含まれていた。だが、「大和」は残っていた。
(なぜカトリーヌ様は「大和」を置いていく。)
「アレがなければ、何がこの国を守るのよ?」
と、マリが言う。
カトリーヌが陣頭指揮を取る連合艦隊は、コロセアムへ向けて突き進む。
戦艦、重巡洋艦等、大火力を誇る強力な艦隊である。
「沈められるものなら沈めてみろ!」
と、皆が強気でいたが、それは僅か2日で打ち砕かれた。
コロセアムのたった一発の魔法攻撃で、艦隊の70%の船が沈むか、大破してしまったのだ。
カトリーヌが陣頭指揮を取る旗艦、戦艦「サカミ」も例外ではない。
艦首から艦尾まで一直線の亀裂が入り、折り紙のように折れて沈んだのだ。
出撃から4日、連合艦隊は散々な姿で帰ってきた。
「良い気味だ。」
と、斜影は吐き捨てた。
カトリーヌは、臨時政権中の相当に当たる自分の娘、ミーリャに戦況を報告している。その隣に斜影もいた。
斜影も黙ってはいなかった。
国会議事堂に戻るカトリーヌを乗せた馬車から、斜影はカトリーヌを引きずり降ろし、思いっ切り殴り飛ばして怒鳴りつける。
「見てみろ!お前がおかしいから、こんなことになってんだ!俺ならこんな無駄死にを増やす艦隊なんか編成しない。あんたがかつて英雄って称えられたのかが疑わしいぜ本当に。そんなのでよく戦いのプロになれるな!」
斜影が怒鳴りつけたことは、カトリーヌも衝撃的だった。
というより、その場にいた全員が衝撃を受けた。
だが、斜影が怒鳴った理由は他にもある。
大火力を誇る戦艦、重巡洋艦のほとんどを失ってしまったのだ。
これで、海洋国家であるジパング帝国を守る物はほとんどなくなった。おまけに世界各国でも同じ状況になってしまっている。言い換えれば、これはコロセアムが、他国の妨害を受けずに世界へ魔の手を伸ばす事が容易になってしまったということなのだ。




