カトリーヌ
「スイルヴァーグ!」
周囲が爆発的に明るくなり、光線が何本も飛び交う。
「全く。異世界の武器も、この有様かね。」
と言ったのはカトリーヌだった。
光線で、空から降りてきていた亜人のほとんどは吹き飛ばされてしまった。
「数が多過ぎました。おまけに―。」
ミーリャが怪我をしていると言った。
カトリーヌは、
「戦いは我々と守備隊、国防軍に任せておけばいい。君はミーリャを守るのが本来の任務なのだ。」
「はい。出しゃばりました。申し訳ございません。」
「もし、ミーリャが死んだのなら、その時は君にも死んでもらうぞ。」
カトリーヌは冷たく言い放った。
亜人部隊も押し返し、海獣も戦艦部隊により撃破されたが、海軍ではアイリス合衆国海軍の重巡洋艦「ボストン」が撃沈され、戦艦「アイオワ」も大破したと言う。
また、街もかなりの被害を被っていた。
ミーリャは怪我の治療を終えると、直ぐに町に出向いて炊き出しといった人道支援を開始しようと斜影に提案した。しかし、斜影はカトリーヌに言われた事がひっかかり、「支援したいのは山々だが―」と言ってしまった。
斜影は、自衛隊出身であるマリにどうすればいいか相談した。
だが、帰ってくるのは「斜影は斜影のしたいようにすればいい」といったありふれた答えばかりだ。
「求めているのはそういうことではなく、自衛隊はこういうときどうするのだということだ。」
と、斜影は言い返した。
「そうね。阪神淡路大震災の時、私は自衛隊に居なかったし、東日本大震災の時もアラート待機が続いて、災害派遣は陸上自衛隊がメインだったから、直接、災害派遣に参加したのは皆無に等しいからよく解らない。ただ、炊き出しといった人道支援の場合、しっかりと根回しをしてから行う。具体的に言うと、支援を行う場所。要するに被災地で市長や部族長等といった地位の人とコネクションを事前に作ることね。こうしたことをしてから支援を行うね。下手に何かすると、漁夫の利を得るみたいなことになって、支援をしている自衛隊が、逆に邪教集団や反乱集団として扱われるようになり、更に支援を受けている側の人々から感謝される事はおろか、逆に仇で返されるという負の連鎖にはまってしまうね。陸上自衛隊と航空自衛隊は部署が違うような物だから、私自身よく解らないけどね。」
斜影はカトリーヌのところへ、直々に頼みにいこうと考えた。
カトリーヌは執務室で書類を見ていた。
「なんだね?」
「ミーリャ様が、先の戦闘で被害を受けた町へ直ぐに出向き、食事の炊き出しといった人道支援を行いたいと申しております。」
国家国民の最高地位に居るカトリーヌだ。
国民の為を思うのなら、承認するだろう。
それが、国の最高地位に居る人物のするべきことであろうと思った斜影だったが、
「それは許可できない。」
と、カトリーヌは言った。




