対亜人戦闘
1週間後、コロセアムの次の手が迫ってきた。
今度は巨大な海獣が出現したのだ。
臨戦態勢を取っていたファーストスター級戦艦4隻が全て出撃。46cm砲が次々に火を吹くのが、国会議事堂の物見櫓から見える。
(ゴジラじゃねえんだよゴジラじゃ。)
と、斜影は思う。
避難してきた住民の誘導に当たるミーリャ達の姿が見える。
「斜影殿。カトリーヌ様より「本来の任務に就け」との命令です。」
と、守備隊の一人が伝令を伝える。
斜影は伝声管をカトリーヌの居る執務室に繋ぐ。
「斜影です。「本来の任務」とは何か!」
「君の本来の任務は、ミーリャのボディーガード及び婚約者としての務めだ。戦争参加は認めてはいない。1週間前、君はミーリャを護る最中、国会議事堂での戦闘に加わったそうだな。それは、ミーリャ達を護るためのやむを得ない戦闘として認めることができる。しかし、君はその後、首都防衛部隊にミーリャと共に加わり、ミーリャと共に戦闘に参加したそうだな。」
「それが何か。私とミーリャは地上から。そして、マリとジェーニは空から敵部隊を攻撃。敵部隊を殲滅することに成功しました。」
「いつから君は、ミーリャと特別部隊を編成したのだ?」
「―。」
「君の行動は実に不可解だ。戦争には参加しないと言いながら、実際は戦闘に加わる。ミーリャを護る最低限の戦闘ではなく、首都防衛戦に加わるというのは、戦争参加ではないのか?」
「―。」
「言い返せないのなら、本来の任務に戻れ!」
斜影は物見櫓から、避難してきた住民の誘導に当たるミーリャ達の所へ向かった。
武器は一応持っているが、カトリーヌにあのように言われてしまった以上、戦い辛いだろう。
ミーリャの近くで、斜影は警戒にあたる。
「なんで斜影は戦いに行かないの?」
と、ミーリャが言う。
「ミーリャを守るって事が、俺のこの世界における最重要任務だ。直接戦闘に加わるということは契約には無い。」
「誰がそう言ったの?」
ミーリャの顔が強ばった。
「カトリーヌが―。」
その時、空から亜人が降りてきた。
「この場合は発砲してもいいんだよな。さっさとミーリャも避難しろ!」
斜影は言いながら89式5.56mm小銃を発砲。
「斜影が戦うなら、私も戦う!命令を小隊長!」
「逃げろって言ってんだよ!」
空気を切り裂く音が聞こえ、ミーリャが悲鳴を上げる。
左腕に何かが被弾し、服が切れ、更に切り傷を負っていた。
「メディーック!メディーック!」
斜影が叫ぶが、衛生兵は来ない。
メグとジェーニも来ない。
「おい。この世界でもこれかよ。メディック戦大嫌いだ。」
斜影は応戦しながら、ミーリャに応急処置を施そうとするが、包帯ぐらいしか手元にない。
止血しようにも、包帯を巻く以外にはどうしようもない。
「クッソ!どうしてこんなときに限って身方はこっちに来ない!んで―。」
空を見ると、亜人が次々と降りてくるのが見える。
「手榴弾対策で、気球で降りる必要の無い亜人を投入って事かよ。」
斜影は本気で焦ってきた。
これはサバゲーではない。ミーリャは血を流して痛がっている。そして、身方は斜影だけ。増える一方の敵。
このままでは押し切られる。




