F‐4
「異常気象に加え、坂田二尉の乗っていたというF‐4がこの世界に降りてくる。何の兆候だろう。」
と、斜影は風呂に入りながら考える。
「ファントムが1機。これだけでも、かなりの抑止力だろうが、コロセアムがこの事実を知ったら黙っていないだろう。」
斜影が言ったとき、マリが風呂に入ってきた。
「今日は坂田さんが乱入かよ。」
「ええ。でも、乱入って言い方は止めて。ちょっと話したいことがあるの。」
斜影はマリの方を見なかった。
「斜影。元の世界にいたとき私と会った事あるでしょ?」
「―。」
「思い出したのよ。F‐4を見たとき。百里基地の航空祭で私と話をしたミリオタの事を。」
「―。」
「今後、どうなるのかな。」
マリが斜影の背中に自分の背中を付けて言う。
「なり行きから考えると、異世界から来た俺と坂田さんは、それぞれの武器を用いて戦っていくということになるかもしれない。だが、坂田さんのF‐4は―。」
「ナビがいない。だから、斜影。分かるでしょ?貴方がナビになるのよ。」
「俺はそんな能力無いし、ファントムを飛ばしたこともない。」
「私が教えるより、私の記憶をインプットさせたほうが早いね。」
マリは斜影の正面に回ると自分の額と斜影の額をくっ付ける。
「目を瞑って。」
斜影が目を瞑ると、F‐4のコックピットの映像が早回しのように流れる。
「これで、斜影はF‐4のナビよ。」
と、マリは言うが実感がない。
斜影は何が何だか解らず、風呂を出る。
「斜影。」
と呼んだのは、女神フェニコスだった。
「フェニコス様。なぜここに。」
タオルを撒いた姿だったが、斜影は頭を下げる。
「貴方達4人に伝えたいことがあり、参りました。」
「何でしょうか?」
「コロセアムは世界を破壊する大質量兵器を開発。それを使い、天の穴を破壊し、あの世とこの世の道が寸断されてしまいました。現在起こっている異常気象も、それに伴う物です。天の穴に吸い込まれていた氷塊の水分も、天の穴に吸い込まれなくなる一方で、南方の地からの水は増え続け、このままでは海水が増加。陸地は全て沈んでしまうでしょう。」
「だからどうしろと?」
「大質量兵器は、コロセアムの魔方陣により形成たれたものです。よって、この魔方陣を破壊してください。魔方陣は現在、コロセアム国の総統府内に一つですが、今後も増加する一方でしょう。この世界が沈んでしまう前に、コロセアムを滅ぼし、魔方陣を破壊してください。」
「つまり、こっちから戦争を仕掛けろって事か?」
「いいえ、コロセアムは先ほど、全世界に対し宣戦布告。まもなくこの国にも、その業火が訪れるでしょう。それに対抗する武器を、用意しました。これを使ってください。貴方達がこの世界を救うことを願います。」
フェニコスは姿を消した。
(また、戦争が始まるってことか。)
と、斜影が言った時、台地が僅かに揺れた。




