鏡
カトリーヌ邸に戻った斜影は風呂に入る。
カトリーヌ邸の風呂は銭湯のような大きな物だ。
服を脱いで鏡の前に立つ。
元居た世界でサバゲー中に出来た被弾痕が胸部に残っているが、今はこの世界で戦った時の傷が増えた。
「斜影。」
と、ミーリャが一糸纏わぬ姿で風呂場に入ってきたので、斜影は慌ててタオルを巻く。
「なっ!何入ってきてんだ!?」
「いつも、一人でこんな大きな風呂に入るのはって言っていたから。」
(一人でデカイ風呂ってシュールだなって、初日あたりに言ったような気がするけど―。)
斜影は焦る。
これで背中を流すなどと言われたらどうなるだろうか。
斜影は身体をテキパキと洗い、さっさと湯船に飛び込んでしまった。
「斜影って、身体洗うの早いね。背中を流す間も無かった。」
(察しろよ!)
と、斜影は湯船に浸かりながら思う。
「ねえ斜影。私の身体どう?」
と、ミーリャが訊いてきた。
「肌とか、めっちゃ綺麗だよ。俺の傷だらけの身体とは比べ物にならない位にね。」
斜影は言うが、直視出来なかった。
「本当に見たの?」
「見たよ。」
(乱入してきた時に一瞬な。)
と、斜影は思う。
ミーリャも湯船に浸かる。
「ビスマルクから聞いたわ。心が渇いてしまって何をしても満たされないって。」
「―。」
「私には、これくらいのことしか出来ないから。」
と、ミーリャは斜影に身体を寄せる。
「ずっと戦ってばかりだったからね。この世界に斜影が来てから、この世界の流れは大きく変わった。カミリアの独裁政権を終わらせ、コロセアムに飲み込まれそうになった国を救い、そして、お姉様も助けた。激動の日々から、いきなり女の子に囲まれる生活になったら、確かに戸惑うよね。」
「ぬるま湯に浸かっているみたいだ。いや、生きているのだから、何を言っているのだってなるけどさ。」
斜影は溜め息をついた。
風呂から出る時、また鏡で自分の身体を見ると、傷が消えていた。
「傷がない―。」
「ああ、斜影もしかして私の石鹸間違って使ったでしょ?」
「えっ?」
「私の石鹸は、身体の傷を治して肌をキレイにする成分が含まれているんだよ。」
ミーリャが後から斜影を抱きしめた。
「なっ!ちょっやめて―。」
「どうして?」
「俺は男だぞ。」
「婚約者でしょ。」
斜影は顔が真っ赤になった。
(このまま行けば、子供が出来るよ。)
と、斜影は思った。




