カトリーヌ家
留守にしていたこの家の主人が戻ってきた。
ミーリャの本名は、ミーリャカトリーヌ。父、アドミラルカトリーヌはこの国の外交官だという。
「鞍馬斜影君だったね?娘の生命を救っていただき、ありがとう。」
と、カトリーヌは例を言った。その手に武器が無いのを見ると、斜影はホルスターに入れていた拳銃を机の上にそっと置いた。
「武器を持たぬ相手に対し、武器を持ったまま相対してしまった事をここにお詫びします。カトリーヌ様。」
斜影は頭を下げて詫びた。
「おや。何もそこまでしなくとも良いではないか。」
カトリーヌは笑った。
「君は、この国の人間ではない。隣りの大陸の人間でも、その属国の島国の人間でもない。何処の何者なのだ?そして、ここには何をしに来たのか?」
斜影は嘘偽りなく、日本という国に住んでいるが、突然、この世界に滑り落ちてきてしまい、何が何だか分らないという事を言った。
「そうか。日本という国の戦士か?」
という問いが来た。おそらく、サバイバルゲームの装備を見たからだろう。
「戦士と言うより、それに近い存在です。」
「おもしろい奴だ。気に入った。娘の命の恩人である。何か礼がしたい。何を望むかな?」
斜影は一瞬考えた。
「私はこの世界については未知であります。そこで、今望むのは2つ。1つはこの家の使用人として住み込みで雇ってもらうこと。そしてもう1つ、帰る方法を見つける手助けをして欲しい事であります。」
「そんなことでいいのかね?」
「はい。」
これで、少なくともこの国での仕事、住まい、生存権の確保は出来るだろう。
「使用人としてもだが、娘の、ミーリャのボディーガードとしても活躍してほしい。」
という条件も加わったが、この日の内に、斜影はカトリーヌ家の使用人として雇われるとこになった。