大陸の奥地へ
調査団は無人ガス気球を使用して空からも調査をしているようだった。
「ちっ。あっちは気球探検かよ。こっちは地道に歩くしか―」
「文句言わない。」
「元自衛官とサバゲーマーとお姫様じゃ、体力差有りすぎるって。」
坂田は溜め息をつく。
「そんなんでミーリャ様の婚約者なの?頼りない男だな。」
「うるせえ。」
ミーリャもテレパスでジェーニと交信しようとしているが、上手くいかない。
「ダメね。この寒さのせいか、魔力が弱まっているそれに―。」
と、ミーリャが言って気付いた。もう太陽が沈みかけていると。
「戻ろう。夜になったら何が起きるか分らない。下手に野宿したら凍え死にする。」
斜影が言い、マリも同意した。だが、ミーリャは納得できなかった。
「ミーリャ様。明日の明るい時間を目一杯使って探しましょう。明日は揚陸艦から揚陸した移動式の住居も利用してもっと奥地まで行けますから。」
マリが説得する。
「もし、ミーリャの立場なら俺もミーリャと同じことをするだろうが、焦って自分が死んだら元も子も無い。」
斜影も言い、ミーリャも「そうね」と言って戻る事にした。
(いや、こりゃミーリャが夜出歩くフラグ建設しちまったな。)
と、斜影は思った。
案の定、ミーリャは夕食後、トイレに行くと見せかけて野営の基地を出て一人で行こうとして、白い猛獣と遭遇した。
持っていたスパス12で射撃したが、猛獣は群れで、4頭はいた。
銃声を聞いた斜影とマリが飛び出て、銃撃する。
「坂田さん。何頭居るか分かるか?」
「見えない。暗くて見えない。」
「くっそ!やるしかない!」
「何を!?」
斜影が突入する。
「ミーリャも馬鹿だが、俺も馬鹿だ。無理矢理突っ込むなんてな!」
89式5.56mm小銃をフルオートで撃ちまくり、見える限りの猛獣を射殺する。
「白熊か。だが、油断しているとぶっ殺される。」
どうやら、猛獣の正体は白熊だった。
「ミーリャ。だから言ったろ夜は出歩くもんじゃないって!」
「でも、お姉様の声が聞こえたから。」
「えっ?どこからだ!?」
「遠い。でも、この方向。」
白熊を全て撃退した斜影は、ミーリャの指した方向を見たが闇で何も見えなかった。
「距離は?」
「早く行かないと―」
「距離はって聞いてんだよ!」
思わず怒鳴った。
「ここから約500キロの陸上。」
「500―。」
それは、遠過ぎる距離だった。
まず、徒歩でたどり着ける距離ではない。捜索に費やせるのは残り6日だ。3日でその場所へ行き、3日でここまで戻ってこなければならない。
揚陸艦から揚陸した物資の中に、自動車があるが、速度が遅く最高時速30キロだ。そのうえ燃料も足りない。
だが、気象観測を行ったガス気球が希望を齎した。
上空600メートルの所にミーリャが指し示した方向へ向かう強い風の流れを見つけ、これは瞬間的なものではなく、常時発生している物であると分かったのだ。
そして、気象観測隊は明日、熱気球を使って上空から有人調査を行うと言う。
気球には10人乗ることが出来るといい、しかも強風でも耐えられるというのだ。
「なら、話は簡単だ。明日の朝、熱気球で一気に行こうじゃないか。」
と、斜影が先走ったがすぐにあることに気がついた。
逆方向へ行く風がないということだ。
これでは行けても帰って来れない。
「一つ方法はあります。」
と言ったのは、アイリス合衆国海兵隊隊長だ。
「我が隊のハーフトラックに往復分の燃料をドラム缶に入れて積載し出発。目標地点まで行った後、戻ってくる。これなら、燃料切れの心配はありません。また、このハーフトラックは時速75キロで走れます。1日6時間走れば、目標地点まで行けます。」
だが、これは大きなリスクがあった。
「問題なのは、往復分の燃料をドラム缶に入れて積載すると、重量オーバーで護衛に付ける人員を載せることができず、乗れるのは、貴方方3人だけということです。」
「そんな―。」
斜影は不安になった。
「でも、それが一番早く行ける方法なんですよね?」
ミーリャが言う。
「はい。ですが、何かあっても助けることもできません。我々は調査期間を終えたらすぐに帰ります。」
「それでも、私は姉を助けたいのです。車、貸してください。」




