島流しの島の正体
昼前に、エメラルダ大陸のセドナという港に寄港し、アルゴ艦隊はいよいよ未開の海域へ足を進める。
この日の夜、遂に光のカーテンという物が現れた。
だがそれは、斜影の予想通りオーロラだった。
斜影は始めてみるオーロラに目を奪われたが、他の船員はテンヤワンヤの大騒ぎだ。と言うのも、夜になった途端に現れた上に、単調だったオーロラが一気に夜空一杯に激しく動きながら広がったのだから大騒ぎになるのも分かる。
ここまでは、斜影の世界のオーロラと同じだし、いきなり激しく動いて夜空一杯に広がるのは斜影の世界では「オーロラ爆発」という現象であったが、斜影が驚いたのはここからだった。
オーロラ爆発に音があったのだ。
風のような音と、爆発音である。
周囲の海域は既に、氷塊に覆われている。
海図では、エメラルダ大陸からそう遠くない場所に島流しの島というものがある。世界地図においても、島流しの島はニュージーランドにあたる島であったが、いくら進んでも島は現れない。
セドナという港でも、島流しの島という島に行ったという人物はいない上、見た人物も居なかった。
(では、コロセアムの奴等はどうやって島流しの島に行ったのだ?)
斜影は思った。
5日目の朝を迎えた。
だが、未だに島は見えない。
「こいつは厄介だ。」
斜影がつぶやいた。
「下手すると、島じゃなくて氷塊の中に幽閉されているのかもしれん。」
だが、その心配は無かった。
昼過ぎに、氷に覆われた真っ白な大陸が姿を見せたからだ。
「あれが、島流しの島か?」
と、斜影が言うが、艦長に聞いても誰に聞いても(分らない。)(おそらくそうだろう)という曖昧な物で、「そうだ」と断言する者は居なかった。
「揚陸艦、輸送艦の上陸地点の巨大な氷塊を砲撃する!主砲発射用意!撃てっ!」
大型巡洋戦艦「アイオワ」が主砲を発射し、氷塊を爆破すると、氷塊は一気に崩れ堕ち、巨大な波となって艦隊を襲う。
波を乗り越えたら、揚陸艦と輸送艦が上陸地点に接岸し、海兵隊や上陸隊を上陸させる。
「艦長。私と、マリとミーリャも行きます。」
斜影は言うと、マリ、ミーリャと共に搭載されている小型艇で大陸に上陸する。
気象観測船の調査団も上陸した。
(南極大陸のようだなこりゃ。だが、この島の形が解らん。それに、猛獣が現れても不思議じゃないな。)
斜影は思いながら、歩みを進める。
氷に覆われた台地は、何処までも広がっている。
少し歩くと、雪が積もった小高い丘のような物が見えた。
丘を登ろうとして、突然、穴が空いた。
(なんだ!)
と、斜影が思うとそれは巨大な生物の死骸だった。
「なんだこりゃ。」
斜影が銃口を向けながら後退りする。
「この地に生息する巨大な鯨と言われる物の死骸じゃないかな。」
ミーリャが言い、テレパスでこの場所を調査団に伝える。
調査団がやって来て調べると、約15メートルもある巨大な鯨の仲間であると言う。更に調べると、二本の手まであり、この手で陸に這い上がり陸上でも活動していたのではと言われた。
「こいつが何年前のやつか知らないが、もしこいつが生きているとなると、戦車でもないと勝ち目無いな。」
斜影は言う。
何れにしろ、この島には未知の生命物が多く存在し、その中からジェーニを助けなければならないという難しい作戦を遂行しなければならないのだ。




