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異世界サバゲーマー  作者: Kanra
契約と裏の顔
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殺人鬼斜影

 斜影はまた、悪夢を見ていた。

 ついさっきの光景である。

 首を切り落とした敵兵の顔が、自分の顔である。

 そして、最後にカミリアを殺した時、カミリアの豚面が自分の顔になり、自分の顔をしたカミリアが、斜影を撃ち殺す。

「ギャアーーッ!」

 悲鳴を上げて、斜影は飛び起き、ベッドから落ちた。

 それと同時に強烈な吐き気に襲われる。

 どうやらここは、病室のようだった。

 医療器具と思われる物が置いてあったからだ。

 だが、ふらついて、目の前の光景もボヤけて見える状態では、何が何だか解らず、手探りで洗面台を見つける、

 蛇口と思われる部分を捻ると水が出た。

 この世界にも水道と言うものはあると言う事を実感したが、今はそれどころではない。

 思いっきり嘔吐する。

(人殺しより、ミーリャのあの顔が効いた。心が痛い。)

 フラフラの状態であったが、喉が乾いている。

(経口補水液って、この世界には無い。とりあえず水で代用―。)

 蛇口をもう一度捻って水を飲むが、一口飲んで吐き出した。不味かったのだ。だが、何がおかしいのか冷静に考えれば分かる。日本の水道水に含まれるカルキの味が無かっただけで、純粋な水だっただけのことだ。

(そうだ。俺はカルキの味が嫌で、家の庭の井戸水を汲み上げる水道で水を飲む事が多かったのに、まさかここでカルキの味のある水道水を求めるとは。)

 何度も水を口に含む度に、冷静さを取り戻す。

 次第に気分も良くなって来た。

 そのまま、頭を水に突っ込んで頭を冷やす。

(どんな世界でも、水は生命の源だな。)

 頭を冷やし、水を止めて顔を拭き、周囲を見回すとミーリャが心配そうな顔で見ていた。

 そして、マリも斜影の夢を覗いていたらしく、強ばった顔をしている。

 斜影には、嫌な状況だ。

 第一に、「大丈夫?」の一言が無い時点で、危険信号だ。

「遂に裏の姿を見せましたね。」

 と、マリが言った。

「誰一人、貴方を止めようという者はいませんでした。いや、止められません。革命は、貴方の力添えで成功。カミリア政権はここに終焉を迎えました。革命軍の多くは、貴方を英雄として―。」

「止めてくれ。俺は英雄じゃない。ただの人殺しになっちまった。」

「そう言うと思いました。」

 と、マリは溜め息交じりに言った。

「斜影。本当のことを言って。貴方は貴方の世界で何をしたの。アレが、斜影の裏の姿なの。」

 ミーリャは悲しい目をしていった。

「心が痛い。ミーリャ。」

 斜影は自分の心臓の部分を握りながら言った。

 斜影は何を話すか考える。

「少なくとも、ミーリャ様とメグがどういう目に逢わされるかを聞いた瞬間、斜影の裏の姿が現れ始めました。そして、ここから先は推測ですが、タンク達3人を助け出した際に限界点に達し、陵辱部屋に突入した瞬間に裏の姿になって、カミリアを含め、敵兵を皆殺しに―。」

 と、マリがフォローした。

「陵辱には耐えられる。何度も辱めを受けたから。カミリアには。」

「―。」

 斜影はミーリャの言葉に息が詰まった。

「この世界ではしらんが、俺の世界では俺ぐらいの年齢になると、女の裸体や性行為に興味を持ち、それを強要させられる女の姿を楽しむ奴等が多い。だが、俺はそれが見ていられない。男の欲望のまま、辱めを受ける女の姿は美しくもない。むしろ哀れで、痛々しく見える。ましてやそのような物を見世物にするなど人間のする事じゃない。奴等は人間の形をしたゴミだ。」

「ではなんで、悪夢に苦しんでいたの―。」

「分らない。だが一つ言える事はある。」

「何。」

「ミーリャは美しい。そしてメグも同じだ。だからこそ、男の欲望のまま、辱めを受ける晒者にされたく無かった。裏の顔というのは確かに適切な表現であるが、二人を晒者にさせたくないという本心の現れかもしれない。」

 それを聞いてマリが思い出した。

「ミーリャ様。テレパスを使いましたか?」

「眠らされた時に、ふと、斜影が私の前に現れた時のことが頭を過ぎって、思わず―。」

「それです。斜影は最初、非協力的でした。しかし、ミーリャ様の声を聞いた時、「ミーリャの悲痛な声を聞いたら、助けなければならない」と言い、そこから協力的になりました。」

 マリが再びフォローした。

「だが、それでも人殺しに変わりはないか。誰かを守るための最小限の殺人が、あの有様では言い訳にもならないよ。」

 その時、革命軍の幹部という人物が病室に入ってきた。

「お話を伺わせていただきました斜影殿。私はジパング帝国反政府軍副司令ロベルトです。」

 ロベルトという人物は軍人らしい。

「我が軍の力を持ってしても、カミリアとその親衛隊は魔力の差が有りすぎ、倒すには一万以上の兵力が必要だったでしょう。しかし、貴方はその親衛隊を一人で討伐しました。これは勇敢です。」

 ロベルトは感謝の言葉を言う。

「この後、ジパング帝国の政治はどうなるのですか?」

「総統選挙が行われますが、我が軍、及び斜影殿の活躍により、カミリア派の官僚も討伐。ことに、斜影殿は陵辱部屋に集結していた官僚も皆殺しにしました。よって、国の政府は全て白紙となり、我々のような反政府団体や反政府軍の幹部がそれぞれ代役を務めることになるでしょう。」



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