剣術の指南
朝から、マリと共に屋敷の雑務をこなしていた斜影の元にアドミラル・タンクが訪ねてきた。
その隣には、国の役人と思われる人物もいた。
「斜影。これを持て。」
と、タンクは斜影に竹槍を渡す。
「訓練に置いては安全のため、竹槍を使用する。これは訓練時に相手のみならず、周囲の人に危害を与えないための鉄則である。」
タンクによる剣術の指南が始まった。
脇には、敵から鹵獲した銃剣を付けた89式5.56mm小銃も置いてあるが、今はタンクの指示通り、竹槍での訓練である。
タンクと共に来た役人は、カトリーヌとミーリャに用があったらしく、応接室で何か話しているが、かなり深刻な話をしているようだった。
他にも連れがいたが、それはタンクの恋人だった。
「私が戦う理由は、彼女を守るという事も含まれている。」
と、タンクは言った。
タンクの恋人はメグと言う名前で、斜影のいた世界でも聞くような名前だった。
「ところでだ。」
と、タンクは言う。
「君の世界の戦いも教えてくれないか?」
タンクに言われ、斜影は89式5.56mm小銃をタンクに渡して、構え方を教える。
「攻撃するのはこれを指で引く。そうすると、弾が発射されるってわけです。」
「撃たせてもらえないか?」
斜影は困った。
「私のエアガンは、弾が無くなればただのカカシになります。ですがこの世界に弾が無いため、無駄撃ちすることが出来ないのです。」
それを聞いたメグが能力を使う。
「それを私に触らせて。」
と言い、メグが銃に振れると、目を瞑って掌を地面に当てる。
地面から、なんと89式5.56mm小銃が1丁出てきたのだ。
「凄い!」
「私の能力はコピー。触れた物を複製させる能力よ。これに必要な弾だって、少しは複製できる。」
金髪のツインテール。人形のような容姿のメグは得意気に言った。
だが、早速、電池を接続させて見るが動かない。
「嘘―。」
と、メグは言った。
「なら、こいつなら―。」
斜影は急いで部屋に戻り、スパス12を持ってまた庭に向かう。その時、応接室の前で役人とカトリーヌとミーリャと出会した。
「斜影。ちょっといい?」
と、ミーリャが言った。
「何か?」
「その、少し厄介事かもしれないんだけど―。」
黒髪で童顔だが美貌のミーリャが言葉に詰まる。
「こいつをタンクとメグに渡したらすぐに戻る。」
と言い、斜影はスパス12をタンクとメグに渡してメグに能力を試してみろと言い、ついでに使い方を教えた。
スパス12は電池もガスも使わない、エアーコッキング式のため構造も単純であり、メグの能力で複製出来ると考えたのだ。
そして、直ぐに応接室に向かったが、このとき89式5.56mm小銃を持ったままであった。




