8.初クエストと救助3
今回も若干短めですすいません。
誤字脱字がある可能性大ですのでよろしくお願いします
「……落ち着いたか?」
ボブゴブリンを倒し、アマネを救った俺は未だに洞窟の中にいた。というのも、助け出した後アマネが泣き出してしまい、宥めるのに時間が掛かってしまったからだ。
「……申し訳ありません」
「いや、気にするな。気持ちが分かるとは言えんが、危ないところだったんだ。攻めるべきことではない」
「あ、ありがとうございます……」
お礼を言いながらまた泣き始めるアマネ。正直如何したらいいか分からず戸惑うしかできない。前の世界からそうだが、こんな状況に陥ることなどないから対処方法がわからない。
「……す、すいません。わ、わたし、こんなに、優しくしてもら、うこと、なくって…」
「そ、そうなのか。まあ、安心しろ…というのもおかしいが、襲われかけてた女の子に辛く接するほど俺は鬼じゃない……と思うぞ?」
言ってて断言できないのが悲しくなった。実際大丈夫だとは思うんだが、そういう状況になったことないしな。なんとも言えん。
「……フフフ。大丈夫です、十分に優しいですから。……ほんと、こんなに優しくされたの初めてです」
「……その、こんなこと聞いていいかわからんが、両親とかは如何したんだ?」
優しくされたのが初めてって両親如何したんだ。そんなことを思い聞いてみると、途端に表情が暗くなるアマネ。やはり両親と何かあるんだろうか。
「……わたし、呪い狐なんです」
「呪い狐?」
初めて聞く単語だが、いい意味ではないだろう。
「呪い狐というのは、その昔狐尾族を絶滅に導いたとされる忌むべき存在なんです」
「…詳しく聞いてもいいか?」
「……はい。といっても、私もそこまで詳しくないんですが。その昔、一人の美しい狐尾族がいたそうです。その娘は、外見の美しさも然ることながら器量も良く大変人気だったそうです。でも、ある日その娘は突然異形に変身し村を荒らし一族を滅ぼしかけたそうです」
……なんか、突然お話が終わった。というか飛びすぎじゃね?途中が全くの不明なんだが。
「その娘は何で異形に変身したんだ?」
「……一族に伝わる話では、とある技能のせいなんだそうです」
「技能?」
「その技能の名前は九尾化。そして、私はその技能をもっているんです」
それを持っているせいで、親からも迫害を受けてしまったということか。しかし、話を聞く限り技能そのものはパッシブなものではなくアクティブなものだろう。つまり発動自体は本人の意思が必要であるはずだ。そこまで気にする必要もない気がするが。
「そのせいで、両親は私を隔離して育てました。そして、ついに奴隷として売られたんです。九尾化の件は狐尾族にしか伝わっていない伝承ですので他の種族のひとはあまり知らないそうですし、美人の多い狐尾族は奴隷としては高く売れるそうです。……わたしは、実の両親に売られたんですよ」
「……そうか。すまんな、辛いことを聞いてしまったみたいで」
「いえ、構いませんよ。ご主人様から聞かれたことに答えるのは奴隷の務めですから」
「………はい?」
今何か気になることを言わなかったかこの娘は。誰が、誰の何だって?
「私は先ほども言ったように奴隷です。そして、現在その所有権はご主人様にあります。つまりご主人様の質問に答えるのは当然ですよ」
「……すまん。突然のこと過ぎて理解が追いついていないんだが、なぜ俺が主人になっているんだ?」
「基本的に奴隷は物として扱われます。そして、街の外で死んだ場合その遺品の所有権は発見者のものになるのが普通です。私の所有者は奴隷商人だったので、その商人が死んでしまった以上、私の所有権は発見者であるご主人様にあります」
「……なるほど。一応理解した。だが、ご主人様というのはやめてくれないか。一応俺はシドって名乗っているからそう呼んでくれ」
「…分かりました。ではシド様と呼ばせていただきます。これからよろしくお願いします」
そういって頭を下げるアマネ。
こうして、初めての依頼をクリアする前に奴隷を手に入れた。