6.初クエストと救助1
短いですが投稿します。可能であれば後ほどもう一話上げたいと思います。
ギルドを出た俺はすぐに東門に向かった。途中、宿屋に寄ろうかと考えたが、ゴブリンの討伐にそんなに時間が掛かるとも思えなかったのでそのまま西門に向かう。
東門に到着すると、見知った兵士がいた。
「……シドじゃねえか。ギルド登録は出来たのか?」
「あぁ、無事登録は済んだよ。これがギルドカードだ。それと今からゴブリン討伐に行ってくるつもりだよ」
そういってバルドにギルドカードを見せる。バルドはギルドカードを確認した後、近くにいた兵士に通行料を持ってくるようにいい、言われた兵士は詰所まで走っていった。
「…それでゴブリン討伐だっけか。そんな軽装で大丈夫か?いくらゴブリンって言っても、相手は魔物だぞ。見たところ剣一本しか持ってなさそうだが……」
そういわれて思い出す。そういえば装備を整えるのを忘れていた。まあ、森にいた頃はこの格好でBランクの魔物と戦っていたからゴブリン位ならどうとでもなるが…。
とりあえずごまかすか。
「まあ、金がないからな。とりあえずゴブリンで稼いでから何とかするさ」
「まあ、そういうことなら仕方ないか。でも、さっさと買うんだぞ。ゴブリン以外の魔物だって出るんだからな。……と、来たみたいだな。ほらよ、約束の通行料だ」
「あぁ、分かってるよ。……ところで、ゴブリンってどこに出るか教えてもらってもいいか?」
「……お前さん、今から討伐するやつがどこに出るかも知らんのかよ」
なにやら呆れられてしまった。しかし、今更気付いたがここら辺の魔物が出る場所良く知らないんだったわ。ギルドできちんと聞いておくべきだったか。
「……ゴブリンなら、あそこに見える山のほうに行け。あっちは、他の街への道もあるから魔物討伐してくれるならそっちにしろ」
バルドはそういって門から見える山を指す。山のほうに続く道には、馬車の通った跡らしきものが見える。バルドの言う通りあちらには他の街があるのだろう。今後言ってみても良いかもしれない。
「……ありがとう。じゃあ、そっちのほうに行ってみるわ」
「おう、頑張れよ!!」
そう笑顔で言うバルドと別れて門を潜り、山の見えるほうへ歩いていく。
◆
門を出て30分ほど経っただろうか、俺は山のすぐそばまで来ていた。そして、若干の血の匂いも感じていた。
血の匂いを感じた俺は、すぐさま腰にある剣を抜く。魔物の気配は感じていないが、それ以外の可能性もあるためだ。そして、辺りを探りながら進むと荷馬車のような物と幾人かの死体を発見した。
「……ひどいな。傷を見るに刃物によるものか?しかし、こちらは撲殺だな。複数によ
る犯行か……」
傷だけでは判断行かぬため、荷馬車の状況を確認するため荷馬車に近づく。
「……ぐ、ぅ…」
「だれかいるのか!?」
「…こ……ち、だ…」
突然の声に驚き、叫ぶように呼びかけると荷馬車の裏側からか細い声が聞こえてきた。慌ててそちら側に回りこむと、肩から袈裟懸けに切られつつも何とか息をしている冒険者が一人いた。
「大丈夫か!?」
「ゴ……ブリ…ン、だ……。ゴ、ブ……リン、の、むれ…が」
「わかった。わかったから、もう喋るな。傷に響く」
男は、今にも死にそうな顔をしながらも必死に声を紡ぐ。おそらく、もう助からないだろう。男もそれを理解しているのか、こちらの静止の声を無視して尚も声を出そうと必死になっている。
「………たの、む。お、んな…のこ、が……つれ、て」
「その子は必ず助ける。だから……もう安心しろ」
俺の言葉に安心したのか、男は涙を流しながら笑う。その顔には、もうすでに生気というものは完全になくなっている。
「あ、り……がと…。す、まな…い、にい、さん………」
男は最後にそういって完全に事切れる。俺は、男の最後を看取ると男の懐を探りギルドカードを取り出す。
その後、死体の処理をするために穴を掘る。死体を放置したままにするとアンデット化する恐れがあるからだ。
穴を掘り終わった俺はその穴に亡骸を集め、収納袋から魔導具を取り出す。
魔導具とは、魔力を流すだけで発動する道具のことで、この魔導具は火を出すだけの単純なものだ。魔導具に魔力を流し、亡骸に火を着ける。
俺はそれを静かに見つめ、火が消えるその時を待ち続けた。