■第4話 返信
自室のPC前でマウスを左クリックして、ブックマークしているサイトを
流し見していたミノリ。
片肘をついて半身に傾げ、然程興味もない今日のエンタメニュースを眺める。
マウスを移動させると、ブックマークから削除し忘れていた掲示板の自作
スレッドに誤ってポインターをあて、クリックして開いてしまった。
苦々しい面持ちで、何気なく再びスレッドについた返信を眺めていたところ、
あの後に別の新しい返信がついていた事に気が付いた。
【Re:mosso】
>グローブさん
その後、どうですか?
少しは元気が出たのでしょうか?
それは、スレッドを立てた日の3日後の日付だった。
気付かずに暫く放置していた掲示板。
まさか、あのmossoからミノリを気遣う返信が来るなんて、微塵も思って
などいなかった。
この時で既に1週間は経過してしまっていた。
(さすがにもう、ココ、見に来たりしないよなぁ・・・)
希望は薄かったが、ひとことお礼を言いたくて、ミノリはmossoへ向けて
文字を入力した。
【Re:Re:グローブ】
>mossoさん
たった今、返信いただいてたこと気付きました!
すみません。
ありがとうございます。
元気はありませんが、もう泣いてはいません。
mossoさんが言ったとおり、
何もしていない私は愚痴る権利もないですし。笑
投稿してから、ちょっと嫌味に聞こえてしまうかもと慌てたミノリ。
別にmossoの冷静な言葉を非難した訳ではなく、抗いようのない事実と
して言ったまでだったのだが変に卑屈に映ってしまうかもしれないと、
PC前でひとりオタオタうろたえた。
>mossoさん
すみません、さっきの。
この1つ前の、別にmossoさんを責めたつもりじゃないです!
mossoさんは間違ったこと言ってないですから。
なんか、すみません・・・
『なんか、すみません・・・』
キーボードで入力した文字と同じ言葉を、薄暗い部屋でミノリはひとり
俯き呟いた。