■第23話 1億%の片想い
夜10時。
いつもの画面前に、ミノリことNH:グローブ。
電波の向こうで同じようにPCに向き合うのは、ハヤトことmosso。
【グローブ】:わたし、もう、死期が近いんじゃないかと思うの。
突然の縁起悪い一行に、ハヤトがたじろぐ。
【mosso】:え? どうゆうこと??
【グローブ】:だって、最近ツキすぎてる。
”ツイてない ”が代名詞のわたしがツキすぎてるんだもん。
ゴトウ君の隣の席になって、
ゴトウ君と同じ実行委員になって、
ゴトウ君とジュース買いに行って、
今日なんか、聞いて!
ゴトウ君が帰り道で、ちょっとだけ手振ってくれたんだよ!
もう、わたし・・・ そろそろ死ぬんだわ、きっと・・・
ド・ストレートな言葉に、ハヤトが照れ臭そうに俯いているのを
ミノリは知らない。
タケルとふたりっきりの帰り道で、どんな話をしていたのか気になっていたのが
この言葉で一気に、杞憂に過ぎなかったと頬を緩める。
そんなミノリが続ける。
【グローブ】:わたし、真面目な話。 勉強ヤバいかも!
隣にゴトウ君がいるってだけで、全然、勉強手につかない。
【mosso】:一緒に勉強してみたら?w
【グローブ】:無理無理無理無理ー!!
過呼吸か呼吸困難になって、窒息死しちゃうよー!
【mosso】:そんなに、好きなの・・・?
照れくさそうにはにかみながら、mossoとして訊いてみるハヤト。
【グローブ】:好きだね~
どうしようもないくらい好きなんだよね・・・
1億%片想いなのにねww
ハヤトが俯いた。
暗い部屋でひとり、微かに頬を赤らめて俯いた。
そして、どこか悲しげにその表情は歪んでゆく。
やめなきゃ・・・
今、やめなきゃ・・・
バレたら、コンノに嫌われる・・・
嫌われたくない。 コンノだけには嫌われたくない・・・
だから、今・・・
今日で、終わりにしよう。 今日で、今日で終わりに・・・
でも。
でも。 もう、こうやって話せないのは、ヤだなぁ・・・
コンノと、こうやってずっと。
話してたいなぁ・・・。
流れる文字に泣きそうな目を向けるハヤトが、ひとり、うな垂れ溜息をついた。