■第17話 欲しいもの 守りたいもの
【グローブ】:全部が全部は、やっぱ、思い通りにはいかないよね・・・
【mosso】:そうだね
【グローブ】:なにかをガマンしても、欲しいものってある?
守りたいもの、ってゆうか
(母親とは一緒にいたくはない・・・
でも、そうじゃなければ。 父親についてくとしたら、
・・・学校。 変わらなきゃいけなくなる・・・。)
【mosso】:今のこの状況をガマンしても、離れたくない人は。
いる、かな・・・
【グローブ】:じゃぁ。 その為に、 ”ごーほい ”じゃない?w
暫く、mossoからの返信は来なかった。
それでも、ただやさしく、ミノリは画面の前で静かに待っていた。
キーボードの上に置く手の甲に、雫がいく粒も落ちてはその透明な形を歪める。
暗い部屋でひとり、背を丸め首をうな垂れる。
肩が細かく震えている。
ハヤトが、顔をくしゃくしゃに歪め、泣いていた。
【mosso】:ありがとう・・・
誰もいない冷えた空っぽの自宅の、
物音ひとつしない静まり返った空っぽの部屋で
空っぽだったはずのハヤトの心が、あたたかいもので満たされていた。




