出版の難しさ
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作家なら誰もが感じることである。本を出しても売れないのは、作品が悪いからじゃなくて、単に知名度が低いから。確かに新人の書いた作品など、よほど出版社やメディア、書店などが総力を挙げて宣伝でもしない限り、売れないだろう。
まあ、本が売れなくても原稿料などが入ってくるなら、そっちの方で稼ぐことを考え付くのが賢い書き手。出版は厳しい。ここ十五年から二十年ぐらいの市場の実情だ。作家の本が捌けなくなった。もちろん、売れる書き手もいるにはいるのだが……。
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ここ一週間ぐらいで、最近の女流作家の本を立て続けに三冊ほど読んだ。感想としては読みやすいということ。重量感がなくて、主題も軽く、文体の方もまたフワフワと軽い。スルスルと入ってくる。だが、重みはないからすぐに忘れてしまう。そんな代物。
こんなものが今流行ってるんだ、と改めて思った。何か女子大生とか、二十半ばぐらいの女性が自身の想像力とか感受性などをフル回転させて、紡ぐストーリー。文章はあまり上手くないし、何かと軽いタッチで綴ってる小説。作品として悪くはないのだが、どこかしら――、と思ってしまう。
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出版界も、面白ければ何でもありみたいな側面がある。前述したように、最近市場がそういった風に動いている。今から本を出す人たちはヤキモキするだろう。何らかの風に乗ってヒットする作品は少ないのだし、仮に売れたとしても次が続くのか?それが一番大きな問題。
元来、作家などタイプが分かれる。大別すれば、必死になって書斎で書き続ける人間と外で宣伝して回る人とに。ここ十年以内ぐらい、ネット小説やケータイ小説などのようにウエブ上で作品を書く人たちも出てきた。つまり多様化しているのである。価値観も何もかもがが。
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そこで出版も変わってきて、結果としていろんなやり方がまかり通る。元々小説やコミックなど、面白ければどんなやり口もあるのだが、それがだんだんと手ひどくなりつつある。よりあからさまに、そしてより派手に、リアルに。ボクもネットで書いている人間の一人なのだが、さすがにそういった、ここ五年ぐらいで出てきた新たな人間たちには敵わない。何と言うのだろう、そこまでするか?といった感じだ。場合によっては映画化、ドラマ化など、凄まじいことになるのだし……。
最後に申し上げておくが、出版の垣根が今は昔より低い。これからはもっと低くなるだろう。バカ受けした作品が映像になったり、舞台になったり……、まるで想像が付かない。今のテレビドラマなども視聴率、いわゆる〝数字〟が取れればどんなことでもするのだし……。過熱していく。市場が。ほんの数年でここまで変わる。これからはどう変わっていくのか?一書き手として事態の推移を見守りたい。
上手くまとまらないのですが、ひとまず一筆書かせていただきました。
ではまた。
(了)