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勇者がクラーケン討伐に向かった。クラーケンはそこそこ強いらしく、第3騎士団ほぼ全員とカスレ騎士団の半数が同行した。



カスレに来て10日余り、護衛は時々変わったが、ちらちらと付いてくる連中がいるのは変わらない。

「今夜辺り片を付けようよ」

ウザいんだもん。

『マリアンヌが囮ってのは気に食わないんだけど』

「お前じゃ囮にならんわ」

なんで赤毛がいるかなぁ。カスレ騎士団の騎士団長が赤いカツラを付けて討伐に出たらしく、留守番は副団長の兄の方。


寂れてほとんど誰も来ない広場が決戦場に決まった。

「ロクシャク持ってるよね。頂戴」

兄に得物をねだった。180cmほどの長さの棒だ。兄が王都から出る時に持って行ったのを知っている。

でも兄が最も得意とするのは剣で、それは使ってないハズだ。だってそれは私のだ。


『マリアンヌが使うためにあるんだよ』

ってか、私を思い出すために持ってったんだろ。

「5分かな」

『了解。5分経ったら強制的に介入する』

『うーん。5分経ったら魔法を使っていいってこと?』

『マリアンヌを結界に入れてくれ』

『5分間は手出し無用?』

『状況によりけり』



夕方、ちょっとした買い物に出かけたら、見事に怪しい人影が近づいてきた。逃げるように裏道に入る。

今のところ2人。

どれだけ逃げるかで、追っ手の数が変わるので、寄り道は多めにしよう。

旅人だから道を知らないって思ってるだろうけど、まかずに誘導できる程度にはなってる。

走りながらバッグから取り出した飲み物を一気にあおり、空の皮袋を投げつけた。こういう場合の的中率はまあまあ。

追っ手は5人。

ここまで来たら目的地にも待機してくれてるだろう。10人くらいになればヨシとしよう。

広場の入口に居た如何にも怪しい男たちにバッグを投げつけた。さっき買った小麦粉の袋が破れて視界が妨げられた。たぶん。粉が撒き散らされ始めた段階で目を瞑って突進したんでわからなかったけど。


広場の真ん中に棒を持って立った。この棒さっき受け取ったんだけど、見てないよね。


人気の無いところに追い詰めた積もりで、追い込まれたことにまだ気づいてないだろう。

そこを一気に叩き伏せた。

とりあえず3人。

広場に居たヤツが剣を抜いた。

げっ!町娘にソレする?

こっち木製の棒だよ。だって金属製だと重いんだもん。


堅い木なんだけど、2度剣を捌いたらさすがに折れた。

力任せにそのまま突進する男の剣を避けながら後ろに回り、蹴りを入れた。

折れた棒は別な男に投げつけ、折り畳み式の棒を服のポケットから出してもう一人を狙う。

背後からの殺気が遮られたのを感じた。


『俺のマリアンヌに何をする!』

いや、こっちの殺気の方がたち悪いわ。

『赤牛!?』


あ、暴れ牛ね。うん、相変わらずだわ。

暇になった。結界の中で魔術師さんに可愛いと言われながら乱れ髪を直されてる。


もう運動終わりっすか?

いや、牛が暴れまわってて危険だよね。剣士さんが引いてるよ。闘うより離れたとこで盗賊団を拘束してる。

そういえば兄は昔は敵か私かくらいの大ざっぱな区別しかつけてなかったよね。私以外は巻き込まれてたような……ああ、暴れ牛。


暴走モード久しぶりに見た。5年ぶりかな?

それで追い出したんだったよね。変わってないじゃん。

もう二度と見ることないと思ってたのに、反省してないな。

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