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勇者も騎士団も昼食を食べる。で、王都から離れた今日辺りから、昼休憩に野営食が加わった。ちなみに旅の初日である昨日は火を使わずに済むように黒パンと干し肉とワインが配られた。勇者が魔王討伐の旅で音を上げたのはこれらしい。贅沢じゃないか。

私はハードタイプのチーズでもかじれば充分なんだ。でも、付き合いってのもあるしな。


野営は騎士団の訓練も兼ねてるから私たちは何もする必要はない。今日のメニューは…

「カレー蕎麦っ?」

『勇者様から作った麺を乾麺にして欲しいって依頼受けたやつよ』

従姉さんいつの間にそんな。

『マリアンヌの作ったソバ粥?とかガレッジ?にも興味あるんで今度よろしく♪』

誰が車庫作ったって?私は大工さんかっ。

「ガレット?」

『そんなんだっけ?』

勇者がとぼけた。どうせ覚えてないんだろ。カタカナ語が苦手だよな。

「そばならそんなに土地が肥えてなくてもいいし、播いてほったらかしでもそこそこは収量が望めるからムリの利かなくなった人でも育てられると思う」

『孤児院の副業にもいいかもね』

あ、リール商会って孤児院持ってるんだよね。利益還元とか言って。

私は自分たちだけで精一杯だけど…ってか、面倒くさい。一人でできることには限りがあるんだから、ムリしないのが一番。


「あ、そうそう。ソバが身体に合わない人がいるから、そういう人にはソバを一切近づけないで!」

『欠片も?』

「欠片も。致命的にヤバい」

『それは比喩?』

「言葉通り」

『わかったわ。よく気をつけて、ダメそうな人がいるところじゃやらないわ』

『知ってる。確か…』

乙女の会話に入るな勇者。

『アメフラシーショック!』

「ウミウシかっ!」

足下の枯れ枝を投げつけた。勇者の腹部に当たった。目に当たるといけないから頭は狙わないのがミソ。

あ………騎士団の人と視線が合った。見なかったことにしてください。単なる町娘ですから。

話は聞こえない距離だったから油断してた。

『マリアンヌ。痴話喧嘩は止めなさいよ』

振り返ると従姉たちが微笑ましく見守ってた。ハッとして騎士団を見ると同じ表情だった。勇者は顔を赤くして照れていた。

マジっ。とんでもない勘違いされてんだけど!

しかも、ここで訂正したら絶対に照れ隠し呼ばわりされる。絶体絶命のピンチ。

それもこれも勇者が悪い!消えろ!二度と目の前に現れるな!

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