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勇者が自分の部屋に帰って、従姉に魔術師、剣士まで交えた女子会なる謎のだべりで夜が明けた。と言っても途中から勝手に寝ましたけど、何か?


だって話題が恋バナ?

勇者と私の間にそんなもん存在するハズないのに。3人は出会いから根掘り葉堀り聞こうとするんだわ。それ、勘違いだから。勇者にあるのは食欲だけだ。


ああ、勇者が次に何を言い出すのか心配だ。興味のない無理難題ばかり。日本食の再現に力入れるよりここの食事に慣れる方がはるかに早いと思う。

だいたい日本食の再現に私を巻き込むのは間違いだ。中食と外食がメインだったし、料理法よりは科学技術の方がはるかに詳しい。食品工学なら一応守備範囲だが、これは美味しい料理法とはほとんど関係もない。広く浅く知ってる分野の一つってだけだし。

でんぷんのα化とかβ化とか、アスコルビン酸が酸化防止剤になるって知ってても実生活にそれほど役に立たない。食事を作らないってことは、そんなことを自分でやることはあまり無かったってことだし、ああ、β化は簡単か…ご飯炊いた後で放置しとけばいいしな。これなら自信持ってできる。カビには気をつけないといけないが……微生物は苦手だ。

勇者には内緒だが、世界中の土や葉など微生物の好みそうな環境からいろいろ採取して超頑張れば、味噌や醤油の開発もできるかもしんない。でも、興味ないし、何より面倒。そういう地道な作業特性はない。

ついでに和食には味醂や日本酒が欠かせないことも勇者には内緒だ。作る気がないからな。

一言で片付けると「発酵は苦手だ」で。


『おはようマリアンヌ。なんか考えごと?』

「姉さんおはよう。稼いだお金を何に使おうかなって」

嘘です。恋バナにいかないように牽制だよ、従姉(ねえ)さん。

『マリアンヌはおしゃれとか興味ないしね』

『着飾ってお化粧したらいいのに』

『可愛くしよっ』

「遠慮します」

従姉に従姉の護衛の二人、さすがにかしましい。ってか、女子会のノリのままだよ。徹夜明けのハイ状態かな。剣士のお姉さんは可愛いもの好きらしいけど、素材が私じゃムリがあるでしょ。

『そのままでも勇者落としたし、必要ないってこと?』

「落としてないし、勇者要らん」

『照れちゃってぇ』

「姉さんは旦那がいるけど、二人はフリーじゃん。勇者狙い目だよ。ってか義従兄(にい)さんってハーレムパーティだったの?」

『ハーレム?姉貴には悪いが………脳筋には興味ない』

『筋肉男は可愛くないし』

うわ、辛辣。やっぱり冒険者仲間は義従兄のこと脳筋だと思ってたんだな。

しかも従姉が姉貴か…皆の姉って言うより姉御肌ってか…

『あれはあれで可愛いのよぉ』

って、ノロケはいいけど、自分の夫をあれ呼ばわりはないっしょ。


「んじゃ、勇者もダメじゃん」

『アイツ食欲だけ』

『食への飽くなき探訪の精神は買うけど、異世界の知識が足りなくてそのままでは役に立たないね』

『マリアンヌさんの方が凛々しいし可愛いし』

その食欲だけの男を人にくっつけたことにして一晩中盛り上がってたのはあなた方!


とりあえず、勇者役立たず決定。国家的にも無用の長物だし、そろそろマジに食欲エネルギーで日本に帰れ!

で、二度と来るな!

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