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生まれ変わったこの世界は、前世で言うところの異世界に当たる。中世ヨーロッパ風ではあるが、それと決定的に違うのは魔物だの魔王だのの存在だろう。魔王は召喚された勇者によって倒された。まぁ、そんなこんなは私の生活に関係ないからどうでもいいや。

私にとっての大きな問題は、その魔王を倒した勇者である。勇者は私の前世とほぼ同じ世界のほぼ同じ国から召喚された。ほぼが付くのは勇者が食にしか興味がないからよくわかんないからだ。同定してもしなくてもコイツがウザいことには変わりないから関係ない。ってか、今日もウザいんだけど、早く帰ってくんないかな。

「だからさ、前の世界にあったもんがこの世界にあるとは限らないんだって」

『お米ないと困る』

「お前が困るかどうかで、食材が存在するわけではない」

『お味噌ぉ』

「知らん」

『お蕎麦』

「蕎麦も見ないな」

『ふわふわの白パン』

「ライ麦パンのどこが問題だ」

『固いとこと匂い』

「噛み堪えがあってお腹にたまるからいいじゃん。いい香りだよ」

『マリちゃん、ドイツ人じゃなくて日本人なんだから白パンにしようよ』

「生まれ変わったので既に日本人ではない」

前の人生はとっくに終わってるわ。それに前世から黒パンを好んで食べてたって言ったの鳥頭なお前は忘れてるだろ。

『ごめん………言い過ぎた…』

お、うなだれた。なんか勘違いしたな。前世では充分に生きたし、気にしないんだけど。静かになりそうだから、様子見。

『今日はもう帰るね。今度来る時にはお詫びになんかお土産を持ってくるよ。何がいい?』

手に入らないから二度と来られないもの…………。

「蓬莱の玉の枝を」

かぐや姫かっ!セルフ突っ込み。

『肉まん?』

カッコーン!

勇者専用カップがヒット。

コイツやっぱり食欲だけで生きてるわ。

「出てけ!」

ジメジメしてウザいから二度と来るな!

鳥頭だから三歩で忘れて明日も来ないことを祈ろう。

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