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『お団子~っ』
はいはいはい…。
『トロッとしたみたらしがかかったお団子が食べたい』
はいはいはい。
『マリちゃんはお団子って言ったら何を思い浮かべる?』
「…ホウ酸団子」
『それ食べ物じゃない!』
「団子頭…サ○エさん?」
『それも食べ物じゃないし。マリちゃんもサザ○さん見てたんだぁ』
「見てない」
親近感は間違いだ。
「一般常識として知ってるだけ」
『ド○えもんは?』
「欲しいモノは自力で勝ち取れ!」
何でも人に頼ろうとするのは間違いだ、勇者。
「あ………土左衛門なら見たことあるぞ」
『いや、それは見なくても…』
「私も見る気はなかったが…」
しばし沈黙。
『それは置いといて、ア○パンマンは見てた?』
無理やりな話題転換だけど、今日はいっか。
「当然、見てない」
『ってか、あんパン食べたいっあんこぎっしりのあんパン!』
「ムリ!」
一刀両断で。
『なんで?』
だからなんで涙目。かわいくないからやめろって。
「小豆ないし」
『無いのぉっ』
「見たことはない」
『探さないの?』
「面倒」
『そこは探そうよ』
「個人的には豆料理ならレンズ豆のスープがお気に入り♪」
『女の子は甘いものが好きなんだよ。旅行のお土産には温泉饅頭だよ』
だから、その根拠は何だと。
『ところで、今日の夕飯はお団子?』
私の手元を見ながら勇者が聞いた。
「ううん、ニョッキ」
『この前振りでなんでぇ~っ』
「いいから、お前はさっさと小豆探しの旅に出ろ!」
勇者を蹴り出して本格的に夕飯の準備を始めた。
この世界のどこかには小豆があるかもしれんから頑張って探せ。見つかってもあんこなんて作ったことないから、何もしないがな。
見つかるまでは、いや、二度と来るな!




