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『ポテチ!ポテチ!ポテチ!』
また始まった。
『ポテチ食べながらだらだらテレビ見たい!』
「受信機も放送も無いのにどうやってテレビ見るんだ」
『ポテチは許可?』
「勝手に作れば?」
『僕にも作れるもん?』
「愛があればできるかもしんない」
『ある!ポテチへの愛は充分にある!』
『マリちゃんは何味が好き?のりしお?コンソメ?チーズ?バターしょうゆ?梅?ガーリック?』
それほとんど作れないぞ。醤油ないし、梅干しないし、この辺じゃ海苔も売ってない。コンソメって材料と手間を考えるとあっても王宮レベル。
「食べない」
『はい?』
「ポテトチップスは手が汚れる。仕事しながら食べられないおやつは食べない」
そもそも、そんなにおいしいとは思わないがな。
『マリちゃん、前世社畜?』
「違う」
『でも、仕事ばっかじゃん』
「単に仕事好き。私に無理強いするヤツは1人も居なかった」
『そ、うだよね………とりあえずポテチ作ろ』
「揚げ物なんてしないから油がないよ」
『買ってくる!』
「ついでに、お塩と黒パンとベーコンよろしく」
『了解』
勇者は元気よく飛び出して行った。二度と来なくていいんだけど、お塩と黒パンとベーコンはお願い。
 




