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〈カレーではない何か〉は値段のわりに順調に売れているらしい。騎士団長の堅っ苦しいお言葉より騎士団の有志で書いてくれた寄せ書きをPOP替わりにしたらウケが良かった。団長のお言葉は額に入れて隅っこに飾っておいた。棚の上に半分隠れているから、背伸びしなきゃ読めない。

妹がお小遣い稼ぎに調合の手伝いをしてくれるし、弟も畑仕事が出来ない時など袋詰めをやってくれる。父は〈カレーではない何か〉を使ったお料理のレシピやそれに使う鍋もセットで販売している。母の勤める食堂は〈カレーではない何か〉の料理で繁盛している。

〈カレーではない何か〉さまさまである。


今日も当然勇者は来ている。〈カレーではない何か〉の成功でカレー制作への闘志が湧いたらしい。むしろ湧いているのは頭じゃないだろうか。

ちなみに〈カレーではない何か〉のマージンは渡してない。騎士団長に言った言葉の責任は取ってもらう。あのレシピはもう私のものだ。

『なんか違う』

今日の調合も失敗らしい。盛大に咳き込んでから勇者はつぶやいた。〈カレーではない何か〉はビギナーズラックと言うヤツだろう。北方から帰ってきてから一度もまともに食べられる味にならないらしい。

「しかし、〈カレーではない何か〉って名前ヒドいよな」

『えっ、だってマリちゃんが付けたんだよ』

「はぁ?」

騎士団長もビビる睨みをきかせた。

『味見した時、これは〈カレーではない何か〉だって』

「それは感想だ!」

カッコーン!ひさしぶりに勇者専用カップが宙を舞った。勇者はカップを頭に乗せたまま、一口食べるだけで咳き込む試作品を完食して帰って行った。

そういえば北方から帰ってから王都に家を買ってそこに住んでいるらしい。試作は自分ちでやれ!うちには二度と来るな!

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