20/235
20
『しばらく北方に行きます』
来るなり勇者は宣言した。
「行ってらっしゃぁい。ケガに気をつけてね。もう帰って来なくていいよぉ」
これで元通りの静かな生活になるね。満面の笑顔を浮かべてしまった。
『マリちゃん、冷たい』
「なぜだ。行くことは決定なんだろ?」
『…王様のお願いです。北方の魔物退治』
「頑張って」
『………念のため1ヶ月分の〈カレーではない何か〉を持って行くんで調合手伝って』
ガッテン承知♪静かな生活のためなら喜んでぇ!
帰ってきたら食べたいから留守中〈カレーではない何か〉の更なる調合を頼まれたが、適当でいいだろ。
翌日、勇者は騎士団を連れて北方へ旅立った。王都民による壮大な見送りがあったらしいが当然行かない。
勇者お前は王都へ二度と戻って来るな!




